2011 年 20 巻 p. 171-181
ポストモダン思想を受容した教育思想史研究には何かでき、何かできないのか。(I)三論文を検討し、パースペクティヴイズム、相対主義のアポリア、思想再解釈の意義という問題を提起する。(II)批判の根拠を示す際の「暗黙のルール」を問い直す。「真理」を根拠としないこと。言語論的転回を経たテクスト解釈論。コンテクストとしての「作家」は死なないこと。対象が「大教育思想(家)」に限定されること。(III)教育思想史の今後に関していくつかの提案を行う。研究と政治・教育実践との積極的な関係を取り結ぶこと、思想の教育現実への影響関係を解明すること、現実を批判する思想史的手法の三点である。