人文地理学会大会 研究発表要旨
2005年 人文地理学会大会 研究発表要旨
セッションID: 314
会議情報

食用カペリンに関する生産・貿易の活動と地域間関係
*林 紀代美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
本報告は,食用にされるカペリンに関して,その生産・貿易の詳細を考察し,関係国間の結びつきやバランスを解明することを目的とする。考察により明らかになった点は,以下のとおりである。1:カペリンは,従前よりその大半が非食用利用(ミール,肥料,養殖用エサなど)に供され,他魚種(タラなど)のエサとしての重要性が重視されてきた。カペリンの生産国の多くでは,積極的な食用の習慣や一定規模の消費市場がない。2:1970年代以降,関係国で対日輸出向けカペリンの生産が始まり,メスカペリンに特化した製品が作られ輸出されている。対日輸出カペリンは,もっとも高価格で扱われ,品質管理等も厳しい。対日輸出メスカペリンの生産・輸出から作業が開始されるので,食用カペリンの生産・貿易に対する日本の影響力は大きい。3:オスは,ロシアや東欧諸国への輸出が多く,取扱規模では対日輸出より大きい。また,近年では,オスメス問わず取扱いのある中国・台湾への輸出が増加傾向にある。4:対日輸出において,ノルウェーが最も評価が高く,次にアイスランドが続く。カナダは,前記二カ国の生産状況の影響や魚群の性質などから不利な位置づけにあり,取引の規模や価格決定が他国の活動状況などに左右されやすい。
著者関連情報
© 2005 人文地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top