人文地理学会大会 研究発表要旨
2006年 人文地理学会大会
セッションID: 502
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大阪都心部の人口回復と都市再生に関する若干の考察
*高山 正樹
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抄録
 近年大都市の人口回復、とりわけ都心部の人口回復が注目されている。このような事実とともに一方で都市再生特別措置法にもとづく都市再生が関心を集めている。本研究は大阪都心部の人口回復を、近年の大阪市における雇用・就業状況や生活保護世帯の実情、1人当たり所得(市民税)などの資料に見られる実態と併せて、地域構造的に捉える中で、都市再生の課題について考察することを目的としている。  各種資料をもとに検討した結果、都心縁辺でのオフィスビルの建設や修復とマンション建設が見られる。その結果、都心部は人口増加をしている。しかし、このことは必ずしも、都心部の雇用回復を意味していない。さらに、都心周辺(インナー・シティ)では、なお人口減少(特に社会減)している区もある。加えて生活保護世帯・人口の割合も高い。1人当たり所得でも低い。このような都市内の地域格差は明瞭である。人口回復下にある大阪市のこのような現状が確認された。  今後、都市再生には格差是正の観点から都心周辺部の再生を進めることが重要である。とりわけ、学校、公園をはじめとした基盤整備は人口増加傾向にある大都市にとって重要な課題である。また、大阪市は都市圏の中心市として果たすべき役割を明確にした上で、雇用と経済開発の課題に取り組むことが求められる。
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© 2006 人文地理学会
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