抄録
平成の大合併で誕生した新自治体557を対象に庁舎の方式から、全国的動向を分析した。明治の大合併、昭和の大合併と比較して、今回の大合併の特徴は、1)3つの庁舎の方式が採用されたこと、2)面積が1000平方キロメートルを超える新自治体が誕生したこと、である。
本庁方式、総合支所方式、分庁方式がほぼ三分の一づつをしめていた。庁舎の方式ごとに新自治体の特徴をみると、「合併の形」「合併市町村の地域型」「人口」「面積」と選択された庁舎の方式で強い関連があり、これらの要因で庁舎の方式が選択されていたと言える。
静岡県の合併時期、背景をほぼ同一にする3つの新しい自治体を選び、職員・住民代表にインタビュー調査を実施した。その結果、合併直後の組織配置、その後の再編成、住民の地域アイデンティティの点で、選択された庁舎の方式は一長一短あること、支所地域住民により大きな影響を与えていることが明らかとなった。