人文地理学会大会 研究発表要旨
2011年 人文地理学会大会
セッションID: 410
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第4会場
イナゴの食慣行・学校教育・地域振興策の現状と今後の展望
福島県・群馬県を事例として
*末永 雅洋
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抄録
 イナゴ採集・調理・食の文化は東北・関東地方等で今も残っているが、2011年3月11日に起こった東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故によって近隣地域のイナゴの食文化に影響が出てきている。福島県の須賀川市立白江小学校やいわき市立夏井小学校では児童の放射線に対する影響を懸念して従来から行われていたイナゴ採集行事が中止された。長年イナゴ採集を行っていた郡山市在住の男性も、今年度は福島県中通り地方では採集活動を行えないため、さらに西の会津地方でイナゴ採集を行うことを決心している。福島第一原子力発電所事故は、福島県内のイナゴ採集従事者に大きな影響を与えた。戦後の食生活の変化によってイナゴ食慣行は衰退していったが、福島第一原子力発電所の事故はその流れをより一層加速させるものだと予想される。群馬県吾妻郡中之条町では昨年と同様、地域振興の一環としてイナゴの採集イベントを予定しているが、こうした取り組みはこれからのイナゴ文化にどのような機能を果たしていくのかが注目される。本発表では、イナゴの食慣行があり、かつ学校教育や地域振興の一環として取り入れている地域の取り組みを紹介し、現代的課題と今後の展望を考察する。
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