抄録
ホーム、あるいは家庭的なるものに関する文化地理学研究は、ここ10年ほどの間で大きな流れを築くに至っている。拙稿(2008)でレビューしたように、二元論的なホームの理解を覆し、個人的なものと社会的・政治的なものとの交差領域としてホームを位置付けるという特徴を有する。本発表もこのような視角を共有するものである。Gillian Rose “Doing Family Photography”(2010)など、視覚資料をマテリアリティの側面から論じようとする研究枠組みに基づき、家族の肖像が日本社会の公的空間にどのような形で出て行っているのか、そこで、どのような意味が喚起されているのか、論じる予定である。