比較生理生化学
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総説
光遺伝学によるゼブラフィッシュ神経回路機能の解析
木村 有希子
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2014 年 31 巻 2 号 p. 75-80

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抄録

近年開発された光遺伝学は,特定の神経細胞の活動を光照射によって制御することを可能にした。この革新的な技術は,神経回路機能の理解を進めるための強力なツールになる。光遺伝学は様々な動物種で神経回路機能の解析に用いられ,既に多くの成果を上げているが,光遺伝学を実際の動物に適用する技術は発展途上である。ゼブラフィッシュは光遺伝学を用いた神経回路の解析に適した特徴を持つ実験動物である。ゼブラフィッシュは,分子生物学的操作が容易なモデル動物であり,幼魚の体は小さく透明であるため,光遺伝学的な実験操作がしやすい。また,脊椎動物として比較的単純な神経回路をもち,シンプルな行動をとるので,行動を制御する神経回路の解析にも適している。本稿では光遺伝学を動物個体に適用するための一例として,ゼブラフィッシュの光遺伝学的な解析手法の概説を行う。また,具体例として,筆者らによるゼブラフィッシュ遊泳行動に関わる後脳神経細胞の光遺伝学を用いた解析を紹介する。

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© 2014 日本比較生理生化学会
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