弘前医学
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Print ISSN : 0439-1721
原著
関節リウマチ患者に対する生物学的製剤による治療は臨床的寛解時における MRI で検出される潜在的関節炎を抑制する
蓮井 桂介櫻庭 裕丈 石黒 陽平賀 寛人福田 眞作
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2014 年 64 巻 2-4 号 p. 119-126

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抄録

 関節リウマチ (RA) の治療進歩により多くの症例で臨床的寛解が得られるようになったが,一方で臨床的寛解が維持されていても関節破壊が進行する症例が存在する.そういった潜在的関節炎の制御が画像的寛解であり,関節破壊の進行抑制のための治療目標になると考えられる.
 生物学的製剤 (14例) あるいは非生物学的製剤 (10例) にて治療を行い臨床的寛解が得られ,治療の前後でMRI にて評価を行った RA患者24例に関して,その治療効果について解析を行った.臨床的寛解は DAS28-ESR < 2.6とし,MRI の評価は,SAMIS (Cyteval et al., Radiology 2010) を用い erosion, synovitis, bone edema について解析した.臨床的寛解時,生物学的製剤治療群は,SAMIS 4.6 (synovitis; 1.3, erosion; 2.9, bone edema; 0.5) であった.一方,非生物学的製剤群では,SAMIS 10.5 (synovitis; 2.7, erosion; 6.1, bone edema; 1.7) であった.
 臨床的寛解時,非生物学的製剤群に比べ生物学的製剤投与群の SAMIS, bone edema score 値は有意に低値であった.生物学的製剤治療におけるMRI 画像所見での骨髄浮腫抑制効果及び潜在的関節炎の制御効果が示唆された.

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© 2014 弘前医学編集委員会
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