植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
日本における遺跡出土カゴ類の基礎的研究
堀川 久美子
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2011 年 20 巻 1 号 p. 3-26

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抄録
日本列島における遺跡出土カゴ類・編物の時空的分布と,素材や編組技法における時期差・地域差を明らかにするため,縄文時代から室町時代における遺跡出土カゴ類の集成を行った。1980(昭和55)年以降に報告された資料の集成を行った結果,123 遺跡,1146 点の遺跡出土カゴ類・編物を確認することができた。素材の地域差については,東北・関東付近にタケ・ササ類のカゴ類が多く,西の方へいくにつれてタケ・ササ類以外の素材(ヒノキ,マタタビ属,イヌビワ属等)が占める割合が多くなる傾向が認められた。また,日本海側においてはタケ・ササ類以外の素材が多く利用される傾向があることを示した。編組技法では,北陸を除き全国的に広義の網代編みが多い傾向がみられた。また,地域ごとに素材に合った編組技法が定着するとともに編組技法に合った素材選択がなされていた可能性を指摘した。タケ類・ワラ類の導入時期については,状況証拠から弥生時代後期であるという仮説がたてられているが,ワラ類については実物の遺物がほとんどなく,画期とよべる時期を特定できなかった。タケ類については,縄文・弥生・古墳~平安時代のカゴ類における素材の割合を示し,古墳時代以降タケ類素材のカゴ類は増加したと考えられるが画期とは言いがたい点を指摘した。また,マダケは13 世紀後半~ 14 世紀にはカゴ類の素材として使用されていたと推測され,モウソウチクはカゴ類の素材として使用された時期を特定することができなかった。
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© 2011 日本植生史学会

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