HISPANICA / HISPÁNICA
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論文
文頭におけるhombre, mujer の用法について
野村 明衣
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2018 年 2018 巻 62 号 p. 79-102

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抄録

スペイン語のhombre には、話し手の感情表出である間投詞の用法と、聞き手に向けられる呼びかけ語の用法がある(Fuentes 1990, Portolés 1999他)。野村(2014)では、文頭の呼びかけ語は、聞き手の注意を後続発話に喚起すると結論づけた。しかしhombre は、文頭では驚き、怒り等を表す間投詞としての用法が挙げられている(Martín Zorraquino y Portolés 1999, Cuenca y Torres 2008)。また一方で、Fuentes y Alcaide(1996)はhombre が文法化した無標の呼びかけ表現(apelativo)であると説明している。このように対立する意見がある中で、呼びかけ語全体を体系づけるためには、文頭におけるhombre が他の名詞と同様に呼びかけ語なのか、あるいは間投詞なのかを明らかにしておく必要があると思われる。

また、hombre が間投詞としての用法をもつのであれば、野村(2016)で考察したmujer も同様に間投詞として機能するのだろうか。

本稿では、これらが用いられる文脈や文の種類(行為指示や感嘆等)を手がかりに、文頭におけるhombre, mujer の用法と、両者の差異について考察する。

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© 2018, Asociación Japonesa de Hispanistas
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