人と自然
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野生動物との「距離感」が異なる住民の野生動物保護管理に関する意識の比較
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2003 年 14 巻 p. 69-75

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抄録

野生動物の保護と管理( ワイルドライフ・マネージ メント) に対する住民の意識についてアンケート調査 を行った. 野生動物との「距離感」で回答者をグルー プ化し, 野生動物の保護と管理に対する意識を比較し た結果, グループ間で保護と管理に対する意識が大き く異なっていた. しかし, 回答者の多くが, 単に「保 護」か「駆除」かの二項対立として問題をとらえてい ないことも明らかになった. また, 保護と被害対策の 費用については多くの回答者が税金で負担すべきだと 答えたが, 被害者や保護したい人の負担については, 立場によって考え方が異なっていた. さらに, 鳥獣保 護事業計画や特定鳥獣保護管理計画についての認識は 十分に広まっているとはいえず, 政策決定の主体も行 政にゆだねるという意見が多かった. このような結果 を基に, 合意形成上の課題と, 課題や利害関係を持つ 人が十分に相互理解をはかった上で, 対策を講じてい くことの重要性を議論した.

© 2003 兵庫県立人と自然の博物館
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