中国原産のトウネズミモチは緑化樹としてよく使晉され, 近年, 植栽地より逸出したトウネズミモチが都
市域において急激に増加している. 本研究では, 猪名川( 兵庫県) の河川敷に逸出したトウネズミモチの個
体群について, 河川敷での分布位置や分布する株の樹高, 胸高直径, 一株あたりの萌芽幹数, 結実状況, 近
隣に存在するトウネズミモチ植栽地との位置関係などを調査し, その種子供給源や河川敷での定着状況など
について検討した. 調査の結果, 猪名川の河川敷で94株のトウネズミモチが確認された.平均樹高は3. lm,
平均胸高直径は3. 5cm, 平均萌芽数は5.3 本であった.また,44 株で結実が確認され, トウネズミモチは河川
環境に適応し分布を拡大する可能性があると考えられた. また, 近隣に存在するトウネズミモチ植栽地に
は, 大量のトウネズミモチが植栽されており, かつ調査地のトウネズミモチとの最短距離は鳥による種子散
布が可能な距離であることから, トウネズミモチ植栽群は調査地のトウネズミモチの主な種子供給源と考え
られた.
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