抄録
1993年から2002年にかけて, 兵庫県播磨地方で初冬の鳥類群集調査を毎年1 回行った. 調査地はため池と
耕作地のいりまじった地域で, 市街地がその中に点在している.1 回の調査で30 種以上が記録されるのが常
であり,10 年問では59 種が記録された. このうち,16種の水鳥と14 種の陸鳥がほぼ毎年出現したのに対
し,21 種は3 回以下記録されただけだった. カワウ・ドバト・スズメが10 年の間に増加し, タゲリが10 年間
の後半に記録されるようになった. ドバトとスズメの増加は10 年間に進んだこの地域の市街化と関係してい
る可能性がある. データの上で減少したとみなせる種はなかったが, 近畿地区のレッドデータブックに掲載
されている希少な水鳥の記録は最初の3 年間に隕られていた. このことの背景には, 公園化・放置・ヨシ原
の除去といった, ため池環境の変化が関与している可能性がある.