人と自然
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武庫川上流におけるツクシガヤ個体群の生育環境
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2007 年 17 巻 p. 43-51

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抄録
ツクシガヤは,国内に隔離分布する絶滅危惧植物(環境庁レッドデータブック絶滅危惧Ⅱ類)であり,兵 庫県では未確認であったが,兵庫県土木部が実施した2003年度ひょうごの川・自然環境調査により,武庫川 上流域で生育株が確認された.次年度に兵庫県三田土木事務所がツクシガヤに関する現地調査を実施した結 果,上流域約12 km区間に生育することが判明し,全国的にも最大規模と考えられる群生地の存在が明らか となった.ツクシガヤは,ツルヨシ,クサヨシなどと隣接して生育しているが,同じ立地に混生するのでは なく,大きな株を形成し,斑紋状に分布することがわかった.また生育環境は,直径3~5 cmの小礫と砂の 河床,35~60 cmの水位,20~30 cm/sの流速と砂礫底で浅く緩やかな流水域であることがわかった.今 後,生育地及び個体群の保護・保全を図るためには,兵庫県レッドデータブックへの掲載,生育地の保全, 他地域との比較による生育特性等の解明が必要と考えられる.
© 2007 兵庫県立人と自然の博物館
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