人と自然
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絶滅危惧種力ワバタモロコをはじめとした水生動物の定着過程 一キリンビール神戸工場レフユジア・ビオトープでの実験一
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2010 年 21 巻 p. 151-158

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抄録
神戸市北区にあるキリンビール神戸工場のレフユジア・ビオトープに絶滅危惧種カワバタモロコをはじめとした水生動物を導入し, その数の変動と環境要因とを2001年から2009年までの9年間継続して調査した. カワバタモロコは2002年5. 月の導入直後に急速に増殖し2年後の2004年にはトラップによる採集個体数が4,000個体以上に達した. その後カワバタモ|ココは減少し,2006年から2009年にかけての採集個体数は600から1,000個体で安定していた. カワバタモロコより後に導入したメダカ, モツゴとドンコも定着したが, タモロコ・トウヨシノボリは定着しなかった.2002年から2003年にかけて導入したスジエビとミナミヌマエビの網引きによる採集個体数は, 導入後1・2年の問は増加した. 特にミナミヌマエビの個体数は非常に多くなった. 後者はその後急激に減少し,2009年には両種とも採集できなかった. 絶滅危惧種カワバタモロコが, 人工のビオトープでメダカやモツゴまたミナミヌマエビとの共存のもと, 比較的容易に増殖・定着することが明らかになった.
© 2010 兵庫県立人と自然の博物館
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