人と自然
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アカマツ林小面積皆伐後初期におけるアカマツの定着・成長と土壌環境
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2016 年 27 巻 p. 33-41

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抄録

周辺部にアカマツ高木が残っている状態で小面積の皆伐,および有機物層と表層土壌,切株や根の除去を行い,その後どのような植生が再生して行くのかを調べることにした.今回,アカマツを含む優占種に着目して,植生の初期再生(皆伐6年後)と土壌環境との関係を検討した.その結果,アカマツ優占区の表層土壌は,A0層の被覆率が低く,土壌水分条件に関わる採取時水分量や最大毛管容水量などが低く乾燥しやすいと考えられ,また電気伝導度が低いことから貧栄養の環境であると推察された.アカマツ優占区のアカマツの伸長成長は良くなく,出現種数も少なかった.一方,ヌルデ優占区の表層土壌は,A0層の被覆率が高く,採取時水分量や最大毛管容水量などが高く乾燥しにくい環境であると推察された.ヌルデ優占区のアカマツの伸長成長は良く,出現種数は他の優占区よりも多かった.このように,皆伐後における初期再生の優占種の違いによって,そこに生育するアカマツの成長に違いが認められ,それらの関係と土壌環境が影響していることが示唆された.

© 2016 兵庫県立人と自然の博物館
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