抄録
2020 年6 月から2021 年6 月にかけて,センサーカ
メラを用いて石巻専修大学演習林の哺乳類相ならびに
鳥類相を調査した.調査期間中,23 種(哺乳類12 種,
鳥類11 種)の動物が記録され,中には宮城県のレッド
リストで「要注目種」に指定されているニホンカモシカ
Capricornis crispus が含まれていた.いくつかの種で
親子連れやつがいと思われる映像が複数回撮影されたこ
とから,演習林で繁殖していると考えられた.ニホンジ
カCervus nippon ,アカギツネVulpes vulpes ,タヌ
キNyctereutes procyonoides ,イエネコFelis catus
の撮影枚数が多かったいっぽう,鳥類の撮影枚数は少な
かった.12 種の哺乳類のうち6 種は通年記録されたが,
6 種は撮影頻度に季節差があった.動画が多く撮影され
た時間帯(対象動物が活発に行動する時間帯)は他地域
の結果とほぼ同様だった.ニホンジカはその採食圧で植
生劣化や土壌流出を引き起こすことが各地で知られてお
り,演習林のニホンジカの今後の動向に注目する必要が
ある.