北海道畜産草地学会報
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研究ノート
体細胞種別判定の活用法に関する調査報告
小板 英次郎 國川 尚子中野 まどか
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2022 年 10 巻 1 号 p. 63-70

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抄録

最近、乳房炎の新たなバイオマーカーとして注目される体細胞種別判定(DSCC: Differential somatic cell count)の活用方法について検討した。体細胞数(SCC: Somatic cell count)とDSCCに基き、個体牛を次の4つの乳房健康状態に分類した。A(低DSCCおよび低SCC):健康/正常、B(高DSCCおよび低SCC):乳房炎の疑いあり、C(高DSCCおよび高SCC):潜在性乳房炎、D(低DSCCおよび高SCC):慢性/持続性乳房炎。Bグループの個体牛は、Aグループの個体牛と比較し次回検査においてSCCが20万/ml以上になる確率が有意に高く、感染初期段階の早期発見に有効であると考えられた。牛群の乳房炎防除の管理目標は、Aグループから他グループへの移動割合で表される新規感染率で10 %以下と推測され、経過月の連続したデータとして解析することで、より詳細な乳房炎管理情報となる可能性が示唆された。

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© 2022 北海道畜産草地学会
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