北海道畜産草地学会報
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原著
混合飼料の給与時刻および給与回数が泌乳牛の日内行動および乳生産に及ぼす影響
泉 賢一 長澤 好美
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2015 年 3 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

40頭の泌乳牛を用い、混合飼料(TMR)の給与時刻と給与回数が日内行動、乳生産およびルーメン内pHに及ぼす影響について検討した。フリーストール・ミルキングパーラー飼養下の泌乳牛を20頭ずつ2群に分け二つの試験を実施した。試験1では給与時刻について検討するため、朝夕の搾乳時刻(5時30分および16時)に合わせて6時と16時にTMRを給与した6h+16h区と、午前給与を10時とした10h+16h区を設けた。試験2では給与回数を検討するために、1日1回10時給与とした1回区、1日2回10時と16時に給与を行う2回区を設けた。乳量、乳成分は試験1の乳中尿素態窒素濃度を除き、処理による差はみられなかった。試験1において、採食時間は10h+16h区が有意に長かった(P < 0.05)。牛群の採食行動パターンでは、6h+16h区が両搾乳後に採食ピークが現れたのに対し、10h+16h区では両搾乳後と10時給与時の3回のピークが認められた。試験2では、採食時間は1回区で長くなる傾向を示し(P < 0.10)、牛群の採食パターンは処理間で大差なかった。ルーメン内pHは2回区が有意に低かった(P < 0.05)。以上から、TMR1回給与であっても乳牛の生産性に悪影響はなく、給与時刻を搾乳とずらすことで採食行動が分散することが示された。

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© 2015 北海道畜産草地学会
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