北海道畜産草地学会報
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食品製造副産物等に由来する非粗飼料繊維源多給が泌乳牛の乳生産、咀嚼活動およびルーメンマット性状に及ぼす影響
泉 賢一 石塚 研太
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2015 年 3 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

副産物等由来の非粗飼料繊維源の多給が泌乳牛の乳生産、咀嚼活動およびルーメンマット(RM)性状に及ぼす影響について、4頭のルーメンカニューレ装着泌乳牛を用いて検討した。慣行飼料を対照区、濃厚飼料全量と牧草サイレージの一部を副産物で代替した飼料を試験区とした。対照区の粗飼料と濃厚飼料の給与割合および試験区の粗飼料と副産物の給与割合は、それぞれ60.4:38.9および53.3:45.4であった。DM採食量に差はなく、NDF採食量は試験区で多かった。NDF採食量あたりの採食時間および反芻時間は試験区で短い傾向を示し、DMおよびNDF採食量当たりの総咀嚼時間は試験区で有意に短かった。乳中尿素態窒素濃度が試験区で低かった以外は、乳生産成績に処理間差はなかった。RMの堅さは給与2時間後を除き両区で差はなかった。1.18mm以下のルーメン内小飼料片割合が試験区で高かった。ルーメン内pHおよびVFAモル濃度に差はなかったが、ルーメン内アンモニア態窒素濃度は試験区で低かった。以上の結果から、副産物由来の非粗飼料繊維源の多給は、同時に粗飼料給与割合が低下しても、RMの物理的構造を軟弱化せずルーメン環境や乳生産にも悪影響を及ばさないことが示された。

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© 2015 北海道畜産草地学会
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