2018 年 6 巻 1 号 p. 23-27
搾乳ロボット利用農家において異常風味による生乳廃棄例が生じたことから、ロボット搾乳における搾乳回数と、脂肪分解臭(ランシッド臭)発生に関連することが知られている生乳中遊離脂肪酸(FFA)水準の関係を検討した。計根別農協管内の8戸のロボット搾乳牛のべ946頭に関する2017年4月のデータを解析に供した。1日当たりの搾乳回数により7階級に区分し解析したところ、搾乳回数の増加に伴い個体乳中FFA水準が明瞭に高くなった
(P<0.001)。個体乳中FFA水準(Y、mmol/脂肪100g)の搾乳回数(X、回/頭/日)に対する直線回帰式(Y=0.486X-
0.077、r=0.313、P<0.001)に基づくと、FFA水準がランシッド臭の閾値の上限とされる2.0mmol/脂肪100gとなる搾乳回数は4.3回と算出された。これらの結果から、ロボット搾乳における最大搾乳回数を過度に多く設定することは、生乳中FFAの増加の原因となりえるため望ましくないことが示唆された。