北海道畜産草地学会報
Online ISSN : 2434-138X
Print ISSN : 2187-5391
6 巻, 1 号
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原著
  • 佐藤 春菜, 吉田 未来, 渡部 雅弘, 清水 宏嗣, 萩谷 功一, 寺脇 良悟
    2018 年 6 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2019/10/17
    ジャーナル フリー

    北海道では黒毛和種を飼養する農家のうち、繁殖農家が大半を占める。市場において高値で取引される子牛の生産は繁殖農家にとって最重要な課題である。分析モデルの構築と遺伝的パラメータの推定を行い、市場価格の遺伝的特性を検討した。ホクレン十勝地区家畜市場で2007年から2009年に取引された2,570頭の記録を用いた。子牛の日齢、性別、繁殖方法および近交係数を分析に加えた。また、価格に関連する形質として、体重、体高、胸囲および十字部高を考慮した。最良モデルは開催年、開催月、農家、性別、繁殖方法、日齢、体重、十字部高、近交係数および子牛の育種価を含んだ。価格と最も高い遺伝および表型相関係数は体重との間で推定され、それぞれ0.51および0.52であった。価格の遺伝率推定値は0.64であり、価格の変動の少なくとも一部が個体間の遺伝的差異によるものであることが示唆された。

  • 山田 未知, 岩崎 智仁, 山田 幸二, 小糸 健太郎, 中辻 浩喜
    原稿種別: 原著
    2018 年 6 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2019/10/17
    ジャーナル フリー

    エゴマ種実由来α-リノレン酸を多く含む豚肩ローススライス肉(エゴマ豚)の家庭用冷蔵庫チルド室内保存(加工後11日間)による脂質の脂肪酸組成と遊離アミノ酸含量の変動を一般豚(対照豚)と比較した。脂肪酸組成は両豚とも保存による変化はなかった。遊離アミノ酸は、保存により対照豚で多くのアミノ酸が増加し、遊離アミノ酸総量では保存前と6日目および11日目間に有意な差が見られた(P<0.05)。エゴマ豚ではグルタミン酸、メチオニン含量が保存により増加したが、アスパラギン、グルタミン、アルギニン含量が減少し、保存による遊離アミノ酸総量の変化はなかった。アンセリンとカルノシン含量は両豚で保存による変化はなかった。以上の結果から、保存11日であれば、両豚肉の脂肪酸組成の変化はないものの、遊離アミノ酸においてはエゴマ豚と対照豚とでは保存に伴う変動様式が異なることが示唆された。

  • 青木 康浩, 片岡 美幸, 上田 靖子, 佐藤 聡浩, 川目 剛
    原稿種別: 原著
    2018 年 6 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2019/10/17
    ジャーナル フリー

    搾乳ロボット利用農家において異常風味による生乳廃棄例が生じたことから、ロボット搾乳における搾乳回数と、脂肪分解臭(ランシッド臭)発生に関連することが知られている生乳中遊離脂肪酸(FFA)水準の関係を検討した。計根別農協管内の8戸のロボット搾乳牛のべ946頭に関する2017年4月のデータを解析に供した。1日当たりの搾乳回数により7階級に区分し解析したところ、搾乳回数の増加に伴い個体乳中FFA水準が明瞭に高くなった

    (P<0.001)。個体乳中FFA水準(Y、mmol/脂肪100g)の搾乳回数(X、回/頭/日)に対する直線回帰式(Y=0.486X-

    0.077、r=0.313、P<0.001)に基づくと、FFA水準がランシッド臭の閾値の上限とされる2.0mmol/脂肪100gとなる搾乳回数は4.3回と算出された。これらの結果から、ロボット搾乳における最大搾乳回数を過度に多く設定することは、生乳中FFAの増加の原因となりえるため望ましくないことが示唆された。

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