北海道では黒毛和種を飼養する農家のうち、繁殖農家が大半を占める。市場において高値で取引される子牛の生産は繁殖農家にとって最重要な課題である。分析モデルの構築と遺伝的パラメータの推定を行い、市場価格の遺伝的特性を検討した。ホクレン十勝地区家畜市場で2007年から2009年に取引された2,570頭の記録を用いた。子牛の日齢、性別、繁殖方法および近交係数を分析に加えた。また、価格に関連する形質として、体重、体高、胸囲および十字部高を考慮した。最良モデルは開催年、開催月、農家、性別、繁殖方法、日齢、体重、十字部高、近交係数および子牛の育種価を含んだ。価格と最も高い遺伝および表型相関係数は体重との間で推定され、それぞれ0.51および0.52であった。価格の遺伝率推定値は0.64であり、価格の変動の少なくとも一部が個体間の遺伝的差異によるものであることが示唆された。