現代社会学研究
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転換期における生活クラブ生協運動の現状と課題
生活クラブ生協北海道を事例として
西城戸 誠角 一典
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2006 年 19 巻 p. 21-40

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抄録

本稿の自的は,生活クラブ生協北海道の現状を確認し,生活クラブ生協で構築された理念と現実のギャップがどのようなものであるのかという点を,2002年に生活クラブ生協で実施された組合員調査と,インタビュー調査によって明らかにすることである。これまでの生活クラブ生協研究の多くは,生活クラブ生協自体が活発であった時代を対象としていた。本稿の研究は転換期を迎えた生活クラブ生協を対象とし,なぜ生活クラブ生協が「停滞」「沈滞」しているのかという問いに答えようと試みた。
分析の結果,生活クラブ生協北海道が抱える理念と現実とのギャップを,消費材を通した「食の生協」としての生活クラブ生協を位置づけ,「生活クラブ生協らしさ」を体現していたさまざまな社会運動や班活動からは距離をおく組合員や,消費材を単なる一商品として認識してしまう組合員から見いだすことができた。そして,このギャップの拡大が生活クラブ生協の「停滞」「沈滞」をもたらしていることを示した。さらに,この組合員の意識・行動の差は,50代以上の組合員と40代の組合員の間にある可能性を示唆した。

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