1994 年 7 巻 p. 100-122
本稿は、人がどのように社会現象の中に不公平を見出していくのか、という認知メカニズムの解明を目的とする。ここでは学歴と職業についての不公平認知を取り上げ、両者が共に社会階層とパーソナリティ要因の双方によって規定されることを明らかにする。パーソナリティ要因として特に権威主義と無力感に注目し、これらと不公平認知との関係を明らかにする。
女性データを用いて構造方程式による分析を行った結果、以下の三つの知見が得られた。
(1)社会階層が低いことは、学歴や職業に関する不公平認知を形成する
(2)権威主義的であることは社会にある不公平を認知しにくくさせる
(3)無力感を持つことは権威主義的性格を形成する