抄録
Emmerson & Wilson-Jonesによつて提唱されたeosinophilic spongiosis(ES)は, 天疱瘡の特徴的病理所見とされているが, 免疫組織学的に診断された25例の水疱性類天疱瘡患者の生検標本で6例にESが認められ, 4例に好酸球浸潤を伴わないspongiosisが観察された。これらの所見を表皮内に含有する生検標本では, 真皮上層に著明な好酸球浸潤を伴う場合が多く(計10例中9例), また, それらの症例では, 生検時に末梢血好酸球増多を示すことが多く(9例中6例)見られた。以上の結果から, ESは, 天疱瘡群の特徴的病理所見とするよりも, 自己免疫性水疱症における一病理組織所見として再検討されるべきものと考えられた。