2016 年 85 巻 3 号 p. 264-271
夏秋小ギクは,日本では商業的に重要であり,その需要は折々に高まる.しかし,現在の栽培方法では,花房形状の調節はほとんど行われていない.本研究では,夏秋小ギク品種‘はるか’および‘すばる’(いずれも電照によって開花調節が可能である)の花房形状の調節を目的に,再電照前の自然日長期間および再電照期間の影響を検討した.最初に,12 日間の再電照期間の前の 2~12 日間の自然日長期間の影響を検討した.自然日長に 2~6 日間置かれた植物体は,上位側枝に多くの花蕾を持ち,長くかつほうき状の花房を形成した.次に,4 日間の自然日長期間の後の 4~20 日間の再電照の影響を検討した.再電照を 8~20 日間行った植物体は,上位側枝に多くの花蕾を持ち,長くかつほうき状の花房を形成した.これらの変化は,再電照期間がより長い場合に,より顕著であった.我々の結果は,再電照のタイミングおよび期間を制御することによって,夏秋小ギク‘はるか’および‘すばる’の花房形状が調節できることを示した.