福井県三方湖では、近年、在来沈水植物の衰退が問題視されており、その周辺域における沈水植物の生育状況の評価が求められている。本研究では、三方湖流域の水路および小河川における、在来沈水植物の分布と、それに対する外来生物の影響を解析した。2010年と2011年に、水路・小河川内の59地点(各地点、長さ20m×水路幅)で野外調査を行った結果、在来沈水植物4種、外来沈水植物2種が記録された。沈水植物が出現した地点の81%以上でオオカナダモ、クロモのいずれかが優占種となっていた。オオカナダモが優占する地点およびアメリカザリガニが出現した調査区では、それ以外の調査区と比較して、在来沈水植物の種の豊かさと存在量が有意に低かった。一般化線形混合モデルによる解析の結果、クロモを含む在来沈水植物の出現と、出現頻度が最も高かった在来種であるクロモの出現に対しては、アメリカザリガニの存在による有意な負の効果が認められた。逆に、オオカナダモの出現に対しては、アメリカザリガニによる正の効果が認められ、両種が互いに正の影響を及ぼしあって共存している可能性が示唆された。在来沈水植物の保全のためには、これらの外来種の排除が重要と考えられる。