保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
原著
河川における流程500m間隔での環境DNA分析と現地採集調査による魚類検出結果の比較
丹羽 英之坂田 雅之源 利文清野 未恵子
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2018 年 23 巻 2 号 p. 257-264

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抄録

近年環境DNA分析によるマクロ生物の分布調査法が発展しており、多くの生物種の分布調査が可能であることが示されている。一方で、水の動きのある河川において、数百メートル程度の小さな空間スケールで環境DNA分析と採集調査の結果を比較した例は少なく、希少種の生息域を詳細に把握するツールとしての有効性は十分に検証されていない。本研究では、河川に設定した複数の比較的小さな空間スケールの調査区画で、環境DNA分析と現地採集調査を行い、環境DNA分析と採集調査の結果がどの程度一致するのかを検証した。調査は兵庫県の篠山川の上流域で行い、調査対象種は同流域での分布が確認されている希少種のアカザ、オヤニラミ、スナヤツメ南方種の3種とした。調査区間を500 mの等間隔に分割した23の調査単位を設定し、各区画の下流端で採水し、本研究で開発したリアルタイムPCR系で調査対象種のDNAの検出を行った。また、採集対象を調査対象種に限定した現地採集調査を行い、調査単位(500 m)ごとに種の在不在を記録した。その結果、環境DNA分析と現地採集調査の結果が一致する割合は種によって異なっており、小さな空間スケールで環境DNA分析と現地採集調査の結果を比較した場合には、両者は単純には一致しないことが示された。環境DNA分析を希少種の保全につなげていくためには、本研究と同様の検証を積み重ねていく必要がある。

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© 2018 一般社団法人 日本生態学会
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