2025 年 30 巻 2 号 p. 161-174
人間活動を起因とした全球的な環境変化により、全球的に訪花昆虫の喪失が大きな問題となっている。訪花昆虫のうち、送粉者は野生植物や栽培植物の送粉に欠かせないことから、これらの保全は国内外で喫緊の課題といえる。こうした現状を受け、国内外で訪花昆虫の保全活動や保全生態学的研究が実施されている。しかしながら、日本国内ではこうした訪花昆虫の保全手法が網羅的に紹介された日本語の書籍や総説論文が非常に少なく、具体的に保全活動を実施するために必要な資料が不足しているという問題点があった。そこで本稿では、主に日本の訪花昆虫の保全手法を網羅的に取りまとめ、整理した。訪花昆虫の主要な生息地である森林生態系や農業生態系、都市生態系における保全手法のほか、近年虫媒植物と訪花昆虫に壊滅的な被害をもたらしているニホンジカに対する対策、さらに訪花昆虫や虫媒植物の生息地の再生方法などをそれぞれ紹介している。ビーホテルなどを用いた訪花昆虫の生息地再生など、日本でほとんど研究が実施されていない分野については適宜海外の研究事例を紹介した。訪花昆虫を取り巻く情勢は一層厳しいことから、今後は知見の不足している分野の研究の推進、保全再生手法の開発やその効果検証などが望まれる。
Flower-visiting insects are essential for the pollination of both wild and cultivated plants, but their populations have declined due to global environmental changes caused by human activities. Conservation of flower-visiting insects is therefore a pressing issue internationally that has led to conservation activities and conservation-directed ecological research worldwide, including in Japan. However, very few Japanese-language textbooks and review articles comprehensively introduce the methods used to conserve flower-visiting insects in Japan, and the materials necessary to conduct local conservation activities are lacking. In this paper, we provide a summary of the comprehensive conservation methods that have been developed for flower-visiting insects, mainly in Japan. Three topics are introduced: conservation methods in forest, agricultural and urban landscapes, as the main habitats of flower-visiting insects; actions against sika deer, which have caused catastrophic damage to nectar-providing plants and flower-visiting insects in recent years; and methods for restoring the habitats of flower-visiting insects and nectar-providing plants. For methods lacking research carried out in Japan, such as the use of bee hotels in the restoration of flower-visiting insects’ habitat, research conducted overseas is introduced, as appropriate. Given the increasing threat to flower-visiting insects, research in areas for which knowledge is still scarce should be promoted. Conservation and restoration methods should also be developed and their effectiveness verified.
主にハチ目(膜翅目)、ハエ目(双翅目)、コウチュウ目(鞘翅目)、チョウ目(鱗翅目)などから構成される訪花昆虫(図1)は、文字通り花を訪れる昆虫を指し、その多くが虫媒植物(昆虫が花粉を媒介し、餌資源として花粉・花蜜を利用する植物)の送粉に貢献している(これらは一般的に送粉者と呼ばれる)。虫媒植物はその花のサイズや形態、色彩によって様々な訪花昆虫に送粉されており(石井 2020)、果樹・果菜類においてもハナバチ類(本稿では多田内・村尾(2014)に掲載されている分類群を想定)だけでなく、ハエ目、チョウ目、コウチュウ目など、多様な訪花昆虫に送粉されている(Requier et al. 2023)。したがって、送粉者を含む訪花昆虫の多様性を維持することは健全な生態系や食糧生産の安定性を維持する上で極めて重要である。しかし、訪花昆虫の種数や個体数は、人間活動に伴う環境変化により、日本を含めた世界各地で現在急激に減少している。その要因は多岐にわたり、土地利用の変化や外来種の侵入、遷移の進行、気候変動など、多くの可能性が指摘されている(環境省 2014; IUCN 2025)。日本では、それらに加えてニホンジカCervus nipponによる虫媒植物の食害、里山や農地、草原などの管理放棄も訪花昆虫の喪失に大きな影響を及ぼしている(Sakata and Yamasaki 2015; Nakahama et al. 2018)。また、外来の訪花昆虫による影響も深刻である。例えば、外来種であるセイヨウミツバチApis melliferaやセイヨウオオマルハナバチBombus terrestrisはしばしば在来の訪花昆虫と置き換わってしまうことが知られている(安部 2014)。

こうした訪花昆虫の減少は、虫媒の果樹や果菜の花粉制限を通して、農作物生産にも大きな影響を及ぼしている(Shivanna et al. 2020)。送粉者が減少した場合、せっかく花をつけても花粉の送粉がおこなわれなくなることから、虫媒植物は繁殖が難しくなってしまうためである(花粉制限)。訪花昆虫のうち、送粉者による生態系サービスは非常に価値が大きく、Lippert et al.(2021)によると送粉者による短期的(ここではおよそ1年以内)な生態系サービスはおよそ1兆米ドルと見積もられている。また、日本においては農作物に限っただけでも、野生の送粉者による経済効果は年間3300億円と見積もられている(小沼・大久保 2015)。近年の世界的な送粉昆虫の減少による価値喪失は世界のGDPのおよそ1–2%に及び(Lippert et al. 2021)、生態系だけでなく人間社会においても深刻な問題であることが伺える。
こうした現状を受け、近年は訪花昆虫の保全に向けた取り組みや、訪花昆虫の多様性を回復させる手法とその効果を検証する研究が国内外で実施されている。しかし、こうした研究成果は英語論文として記述されているものが多く、保全施策に取り入れるための日本語資料が不足しているという大きな課題があった。そこで本総説では、行政や土地管理者を含む社会一般への提言を目的として、近年の知見を盛り込んだ訪花昆虫と虫媒植物の多様性を回復させる手法とその効果を概説する。
訪花昆虫の保全事業を実施する前後におけるモニタリングの実施は、保全事業の効果を知るうえで非常に重要である。さらに、事業の実施後に継続的なモニタリングを行うことにより、事業の効果を長期的に把握することができる。一方で、モニタリングには当然ながら人的・経済的コストも生じる。ここでは、モニタリングの主な手法やコストについて解説したい。
訪花昆虫のモニタリングのうち最もポピュラーな手法のひとつが、ルートセンサス法または(ライン)トランセクト法と言われる手法であろう(図2a)。ライントランセクト法とは、特定のルートを特定の時間をかけて踏査し、そこで発見できた生物の種数と個体数をカウントする調査方法である。この手法により、単に訪花昆虫相だけでなく、定量的なデータを得ることができ、季節や調査地が異なっていても訪花昆虫の種数や個体数の比較が可能となる。古くは1957年に北海道大学でハナバチ類調査が行われており、その際にもルートセンサス法が用いられている(Sakagami and Fukuda 1973)。従来は様々な環境を通るように1 km以上に及ぶ調査ルートを設定し、それを環境の違いにより複数の区画に分けて、各区画上で出現する昆虫や虫媒植物の種数や個体数(植物の場合は株数や頭花・花序数)を記録していた(石井ほか 1991; 佐藤 2015)。この手法はその地域の昆虫相や植物相を把握する上では便利であるが、区画間でルートの長さを揃えることや同じ環境(植生タイプ)で繰り返しを取ることが難しく、統計解析に耐えうるデータが取りにくいことから、近年は対象となる環境に比較的短いルートを複数設置して、昆虫・虫媒植物と環境変数をルートごとに同時に調査する手法が主流となっている。筆者らの場合、50×3 m程度のトランセクトを設定し、そこを2人で15分程度踏査し、その中で見られた訪花昆虫をカウントすることが多い(Nakahama et al. 2020)。なお当然、調査時間やトランセクトの大きさは調査状況により適宜設定する。この時、特定の環境タイプを地理的にまとめて配置してしまうと、空間自己相関が生じてしまう。したがって、特定の環境のトランセクトが地理的に偏らないようにするなどの調査デザインが必要となる(大脇 2024)。訪花昆虫の活動する時間や天気に実施し(昼行性昆虫の場合、降雨や強風のない9~16時の間など)、昆虫の活動性が弱まる降雨時や強風時には調査すべきではない。種同定の容易なチョウ類であればその場で同定してすぐにリリースするが、同定の難しいグループに関しては、適宜写真撮影や採集などをして詳細な同定を実施する。この時、昆虫が訪花していた花の種名を記録しておくと、それぞれの訪花昆虫がどんな虫媒植物を利用していたかを明らかにできる(Nakahama et al. 2020; 林ほか 2024)。ほかにも、環境データとして、植生高、植生、土壌水分、土壌pH、土地管理方法などを現地調査から、周囲の景観(土地利用や植生など)は地理情報システム(例:環境省自然環境局「自然環境Web-GIS」http://gis.biodic.go.jp/webgis/index.html, 2025年4月29日確認)から、過去の気温や降水量などは気象庁などのウェブサイトから入手できる。

モニタリングにかかるコストについては、研究目的や計画により大きく異なる。例えば20本のライントランセクトを3日かけて2人で調査すると仮定し、それを年3回実施した場合、年間で(18日分の人件費)+(3回分の旅費)がかかると計算できる。どの程度の数をどの程度の回数調査をするかについては研究計画次第であることから、計画時に入念に検討すべきだろう。同定に際しても時間的なコストを要することに注意が必要である。
なお、カミキリムシ科やコガネムシ科の昆虫のように、主に樹木の花蜜や花粉を餌源とする場合、ライントランセクトでの調査では信頼できるデータを得ることができない。そうした場合は、衝突板トラップやマレーズトラップを各調査地に設置することにより、定量的な調査が可能となる(Ohsawa 2004, 図2b)。双翅目の場合、イエローパントラップを使用することで、効率的に採集することができる(林ほか 2024)。ただし、トラップ調査の場合は、どの個体が訪花昆虫として機能するかがフィールド調査から区別できない問題点がある。そのため、訪花性のある種かどうかをあらかじめ文献で確認しておく必要がある。
日本は温帯を中心として高山帯から亜熱帯まで多様な気候帯を含むが、土地利用を見てみると、森林が国土の約三分の二を占め、農地(10.6%)、宅地・道路(都市部:10.3%)がそれに続く(国土交通省 2021, 図3)。訪花昆虫の保全を考える場合、農地や都市部だけを取り出して検討するのではなく、様々な環境が入り混じった景観と考えた方が良いだろう。例えば、二次林や草原、農地などが入り組む、日本の伝統的農業景観である里山は国土の約40%を占めている(環境省 2009)。作物の送粉を担う訪花昆虫の多くは農地周辺の半自然環境から供給される(Kremen et al. 2002; Osterman et al. 2024)ことを考えると、訪花昆虫の保全は周囲の二次林や草原も含めた農業景観で考えるべきであろう。また、21世紀に入ってから都市部での生物多様性の保全は大きなテーマとなっているが(McKinney 2002; Miller and Hobbs 2002)、都市部の生物多様性保全には都市緑地が重要な役割を担っている(Soga et al. 2014)。したがって、都市部での訪花昆虫の保全を考える際も、緑地などを含む都市景観として検討する必要がある。そこで、以下では、日本の主要な景観である森林景観、草原を含む農業景観、都市景観の三つに分けて訪花昆虫の保全手法について既存研究を参考に解説する。

日本の国土の三分の二は森林であるが、そのうち天然林(二次林を含む)は54%程度であり、約40%は植林地、約5%は無立木地となっている(林野庁 2023, 図3)。天然林のうち原生的な森林がどの程度あるか示す良い統計資料は見つからなかったが、原生的な森林の多くは国有林(森林面積の31%)にあると考えられること、国有林のうち原生的な天然林、地域固有の生物群集や希少な野生生物を有する森林として設定されている「保護林(国有林の13.4%)」を原生的な森林と扱うと、原生的な森林は国土面積の3%程度と概算できる(林野庁 2024)。前述の通り、森林は農業景観や都市景観にも存在するが、ここでは森林自体にフォーカスした研究を取り上げる。農業景観や都市景観の中での森林と位置付けることのできる研究は農業景観や都市景観の章で取り上げる。
日本の森林の大部分は、薪や建材など木材生産等の場として利用されてきた二次林や植林地であり、歴史的に人手がほとんど入っていない原生的な成熟林の重要性を疑う余地はない。訪花昆虫について成熟林と二次林・植林地を比較した研究は多くないが、訪花昆虫を含む材食者(カミキリムシ科)についていくつか研究例がある。山梨県のミズナラQuercus crispula Blumeの成熟林、二次林やカラマツLarix kaempferi(Lamb.)Carrière植林地においてマレーズトラップでカミキリムシ科昆虫を調査した研究では、種数、個体数は管理されていないカラマツ中齢、老齢林やミズナラ成熟林に比べ、間伐したカラマツ中齢林やミズナラ二次林で多かったが、訪花性の高いヒメハナカミキリ属の割合はミズナラ成熟林が最も高く(Ohsawa 2004)、新鮮な枯死木が増加するとカミキリムシ科の種数や個体数は増加した(Ohsawa 2008)。高知県で実施した研究でも、スギCryptomeria japonica(L.f.)D.Don及びヒノキChamaecyparis obtusa(Siebold et Zucc.)Endl.の針葉樹の植林地やコナラQuercus serrata Murray、アカマツPinus densiflora Siebold et Zucc.の二次林に比べ、伐採履歴のない成熟林ではヒメハナカミキリ類(旧Pidonia属。現在は窪木(2024)により細分化された)の個体数が多く、種構成は成熟林、二次林、針葉樹植林の間で異なっていた(Maeto et al. 2002)。これらの研究はいずれも、訪花性のカミキリムシ群集を保全する上で成熟林の重要性を示していた。
一方、近年は生物多様性を保全する上で二次林や植林地の重要性も認識されるようになってきた。二次林や植林地は本来定期的に伐採される林であるが、戦後の経済成長にともない、ナラ類やアカマツが優占する二次林、主に針葉樹が植えられた植林地ともにほとんど伐採されなくなった。しかし、21世紀に入ってから木材の国内生産量が徐々に回復し、特に植林地の伐採量も増加傾向である(Shimizu and Saito 2021)。そのため、定期的な伐採が生物多様性保全へ与える影響も明らかになってきており、生物多様性保全と森林管理との両立の可能性も同時に見えてきた。例えば、スギ植林地の間伐はハナバチ類、ハナアブ類、チョウ類の種数や個体数を増加させることが示されている(Taki et al. 2010a)。チョウ類の多様性は老齢の二次林や原生林より伐採後1~5年後の二次林で高くなる(Inoue 2003; Kobayashi et al. 2010)。植林地、二次林のどちらにおいても、伐採後10年までの若い林ではハナバチ類の種数、個体数が多く、それより遷移が進むと減少するが(Taki et al. 2013; Spake et al. 2019)、林道を明るい環境にすることで、30年以上の植林地でも餌資源となる虫媒植物やチョウ類の種数や個体数を高めることができる(Ohwaki et al. 2017)。伐採地や明るい林道で訪花昆虫が増加する理由は、明るさそのものと資源である虫媒花の増加が影響していると考えられる。また、伐採地面積が2 haまでは面積の増加とともにハナバチ類の種数は急激に増加するが、それ以上の面積の伐採地ではハナバチ類の種数の増加はなだらかになる(Taki et al. 2018)。これは個々の種の占有確率が2 haまでの間に急速に増加するためである。これらのことから、伐採後の若い植林地や二次林はハナバチ類やハナアブ類、チョウ類の重要な生息地であるが、Taki et al.(2018)の結果から、2 ha程度でもかなりの効果を発揮すると期待される。
前述した二次林や植林地に比べ、伐採などの人為的撹乱の頻度が低く木材生産以外の森林機能が重視される保安林は、近年増大する風水害リスクや生物多様性喪失リスク緩和のため、グリーンインフラとしての災害防備機能と生物多様性保全機能が同時に求められている(飯島 2019; 国土交通省 2023)。たとえば、河川に隣接する「河畔林」は、洪水時の河岸保護など災害リスク低減機能を発揮させる管理方法とともに、動植物の生息地間ネットワークや連続性を維持・形成可能な管理方法が取りまとめている(国土交通省 2024)。海辺に設置されている「海岸林」は、2011年東日本大震災以降、各地で津波への抵抗力を高める整備方法が提案されているが(Torita et al. 2021)、飛砂軽減を目的とした継続的管理によって、絶滅危惧種を含む多様なチョウ類の生息場所が確保されている事例もある(村野 2021)。さらに、強風から道路や農地を守る「防風林」は、絶滅危惧種のレフュージア(生態学的な避難場所)としての機能を果たしている(速水ほか 2019)。防風林では近年、植え替え(更新)の際に一時的に形成される若い林地で、虫媒植物やチョウ類の種数・個体数が増加することが示されており(Nakahama et al. 2022)、絶滅危惧種を含む訪花昆虫や虫媒植物にマイナスの影響を与えにくい時期や頻度で伐採・草刈りなどの整備が実践されつつある(速水・岩崎 2023)。
したがって、人の手がほとんど入っていない成熟林は引き続き人為的影響を与えずに維持する一方で、二次林や植林地、保安林のような歴史の中で継続的に管理されてきた林では、森林景観の中に様々な林齢のモザイクを作り出す管理によって、森林景観全体で虫媒植物や訪花昆虫の多様性を高く維持することが重要であろう。
農業景観においては、送粉サービスを確保するためにも訪花昆虫の保全は極めて重要である。こうした農地景観では、周囲の二次林や草原などの半自然環境が訪花昆虫の維持に大きな役割を担っている(Ohwaki et al. 2007; 石井 2010; Nakahama et al. 2022)。例えば、ソバFagopyrum esculentum Moenchの結実には昆虫による受粉が必須であるが、ソバの訪花昆虫(訪花性の甲虫、ハエ目、ハチ目、チョウ目)やソバの結実率はソバ畑周囲の二次林や草原面積の増加とともに増加した(Taki et al. 2010b)。また、木のうろに営巣するニホンミツバチApis cerana japonicaにとって天然林は不可欠な生息環境であり、ソバ畑の周囲に天然林面積が増えるとソバの花に訪花するニホンミツバチの個体数は増加した(Taki et al. 2011)。
農業景観のうち、二次林については先述のとおりであるので、農地の周囲に点在する半自然草原における保全手法について紹介する。草原環境は現在では国土のわずか1%程度しかないものの、多くの絶滅危惧種を保持する貴重な環境である(小椋 2012, 図3)。近年その重要性が注目され、急速に研究が蓄積されつつある。半自然草原とは草刈りや放牧、火入れなどの人為的撹乱により遷移の進行が止まり、在来植生を保持する草原であるが(須賀ほか 2019)、管理放棄されると植生遷移の進行により植生が変質し、植物やチョウの種数、個体数が減少する(Uchida and Ushimaru 2014; Uchida et al. 2016; Ohwaki et al. 2018)。半自然草原を生息地としている訪花昆虫及び虫媒植物は非常に多いことから、半自然草原の維持は訪花昆虫や虫媒植物の保全にきわめて有効であり、その維持管理方法にはさらなる検討が必要である(須賀ほか 2019; Uchida and Ushimaru 2014; Nakahama et al. 2020)。
草刈りにおいては頻度や時期、方法が重要となる。Uchida and Ushimaru(2014)によると、年間1~3回程度の草刈りが種子植物の多様性維持に好適で、年間1~2回程度の草刈りはチョウ類の多様性維持にも好適であることを示している。また草刈りの時期も重要である。訪花昆虫の餌資源として利用される種子植物のうち、夏から秋にかけて開花する種の繁殖成功を維持するためには、この時期の草刈りを避けるか、一度にすべての面積の草刈りを避けることが推奨されている(Nakahama et al. 2016; Johansen et al. 2019)。訪花昆虫についても、卵や蛹といった摂食しない時期での草刈りが保全に重要であることが、絶滅が危惧されるチョウ類アサマシジミPlebejus subsolanusで示されている(Hayamizu et al. 2024)。このように、虫媒植物や訪花昆虫の寄主植物の維持にはこうした草刈りの時期の検討が必要となるだろう。保全すべき目標次第ではあるものの、より多くの訪花昆虫を保全するのであれば、全面的に草刈りをする場合には年に1~3回程度で実施すること、あるいは全面的な草刈りではなく一部の草刈りを適宜実施していくのが有効だろう。
家畜の放牧については、一般的に放牧圧(面積あたりの放牧頭数及び放牧日数)が高ければ、訪花昆虫や虫媒植物の多様性が低下し、放牧圧が低ければこれらの多様性が増加する傾向にある(Bussan 2022)。兵庫県北部で実施されている但馬牛の放牧(主に初夏から秋にかけて3~18頭/haを放牧し、草丈により適宜放牧地を変更するシステム)では、耕作放棄地と比べて虫媒植物と訪花昆虫(この研究ではチョウ類)が有意に増加したことが示された(Nakahama et al. 2024)。訪花昆虫や虫媒植物の多様性の維持に好適な放牧圧は気候や植生により大きく異なると予測されるために一概に言えないのが現状である。さらに日本においては適切な放牧圧の強さを提案できるほど研究は蓄積されていない。そのため、放牧を実施する際には放牧頭数や放牧日数に配慮し、訪花昆虫や虫媒植物のモニタリングをしながら順応的に管理することが必要だろう。草原の火入れについても研究例がある。周囲の生息地から自力で移動できない位置にある孤立した草原への全面火入れは、地表や地上で卵・幼虫・蛹越冬するチョウの多くに壊滅的なダメージを与える(Ohwaki 2019)。
草原を含む景観も訪花昆虫や虫媒植物に影響する。草原面積は広く、近距離に多くの草原が位置するほど、草原性の訪花昆虫や虫媒植物の多様性は高くなる(Ranius et al. 2011; Jauker et al. 2013)。チョウ類の一種であるコヒョウモンモドキMelitaea ambiguaの場合、およそ40年前の半径1200 mの草原面積が遺伝的多様性と正の相関関係にあることが明らかとなっている(Nakahama et al. 2018)。質の高い草原は様々な種類の虫媒植物が咲き乱れるため、訪花昆虫の重要な採餌ハビタットになるが、ハナバチ類などは営巣地と採餌場所が異なるケースもしばしば見られる(木野田ほか 2013)。したがって、単純に草原だけでなく、森林や林縁といった異なる生態系や、被度、湿度・土性・日当たりなどが異なる多様な土壌環境など(Antoine and Forrest 2021)、様々な生態系を同時に保全することが重要となる。
過去の土地利用履歴も草原植生への影響が残り続ける。Inoue et al.(2021)やYaida et al.(2024)によると、数百年以上続く草原は、一度森林になった土地を伐採して草原管理を導入し、数十年前に造成した草原より希少な植物が多く、種組成も大きく異なっていた。また、過去に施肥を行った草原では半世紀が経過しても外来種が優占しやすく、在来植生に戻らないことが明らかになっている(Tsutsumi et al. 2022)。このように、一度土壌栄養の改変や植生の破壊がされた場合には、在来植物の多様性は衰退し、元に戻すことが難しい。植物の多様性が減少すると訪花昆虫の多様性も減少する傾向にあることから(Nakahama et al. 2020; Hirayama et al. 2025b)、こうした植生の変化は訪花昆虫の多様性にも大きな影響を及ぼすだろう。実際に、森林を経験した新しい草原では、長期間維持されてきた草原と比較して送粉ネットワークがより単純で、虫媒植物の結実率も低い傾向にあった(Hirayama et al. 2025a)。したがって、歴史が長く、かつ在来植生の多様性の高い草原は、訪花昆虫の多様性保全にとっても非常に重要であるといえる。
都市部は主に住宅地や建築物、道路などの人工物で占められている一方で、都市景観における生物多様性の保全には都市緑地(ここでは、舗装されていない、ある程度まとまった面積の林や草地と定義する)が重要な役割を果たしている。都市緑地については管理や歴史が重要とされており、開発を免れて残された昔からある歴史の古い二次林では、新しく造成された公園に作られた林に比べてチョウ類の多様性が高い(Soga et al. 2014)。なお、歴史の長い緑地においても断片化している場合、年1化や森林性のチョウは絶滅の負債を負っている可能性がある(Soga and Koike 2013)。これは面積が小さくなってすぐにその面積に見合う種数まで減少するわけではなく、時間をかけて減少するため、将来は絶滅すると予想される種がまだ残っていることによる。しかし、分断化による負の影響は生息地の質を改善する(餌資源となる虫媒植物をパッチ内に増やす)ことで多少緩和できるだろう(Soga and Koike 2012)。また、都市緑地では、月1回以上の頻繁な草刈りなど、強度な管理を受けることが多い。都市部の草地において頻繁な草刈りは訪花昆虫の種数または個体数を減少させるため、年1~2回の草刈りが良いことが知られる(Fekete et al. 2024)。
都市景観で生物多様性を高めるには、上記のようにまとまった都市緑地の面積や質を適切に維持管理するだけでなく、庭に虫媒植物を植えるなど、都市部で広く緑化を進めることも重要である。実際に、庭の植物の多様性が高く、木本が存在し、面積が大きく日当たりが良くなるにつれて、訪花昆虫(主に鱗翅目及び膜翅目)の種数や個体数が増加する傾向があることが示されている(Majewska and Altizer 2020)。庭に植える植物は在来か外来(園芸)のどちらが訪花昆虫にとって良いかは議論があるが、これについては明確な傾向が見られなかった(Majewska and Altizer 2020)。北海道江別市の研究では、都市部の庭は季節を通じて虫媒植物の花が豊富に咲き、特に夏以降は近隣の森林よりマルハナバチ類の重要な採餌環境となっていたが、植物種の87%(89/102)は園芸植物であった(Nakamura and Kudo 2019)。ただし園芸植物が逸出して野外に広がったこれまでの歴史を考えると、理想的には在来種の地域系統を庭に植えるべきであろう(今西 2022)。カリフォルニアで行われた研究では、意外にも庭の虫媒植物の開花量が増えるほど在来のハナバチ種数が減少した(Plascencia and Philpott 2017)。これは庭の虫媒植物の開花量が増えると、セイヨウミツバチ(日本やアメリカでは外来種)の個体数が増加するためと考察されている。この研究では在来のハナバチ種数は虫媒植物の花が庭に散在して植わっていると増加するが、まとまって植えられていると減少した。このように、庭で在来のハナバチ種数を増加させるには、単に花を増やせば良いのではなく、花の植え方やセイヨウミツバチとの相互作用も考慮する必要があるかもしれない。
21世紀以降、ニホンジカは日本各地で植生を劣化させており、花の減少に伴い多くの訪花昆虫が減少している(Sakata and Yamasaki 2015; Nakahama et al, 2020)。ニホンジカの食害地域においては、秋に開花する虫媒植物がニホンジカの食害により減少したことでマルハナバチ類の訪花頻度が減少し、それに伴い結実率がさらに減少するという悪循環が生じている(Sakata and Yamasaki 2015)。対馬に分布するツシマウラボシシジミPithecops fulgens tsushimanusに至っては元々島内で普通に観察できていたものの、増加したツシマジカCervus nippon pulchellusにより食草であるヌスビトハギHylodesmum podocarpum(DC.)H.Ohashi and R.R.Millなどが食害を受け、環境省レッドリストにおいて絶滅危惧IA類に選定されている(環境省 2020)。
このため、現在はニホンジカによる食害を防ぐための防鹿柵が、ニホンジカの密度の高い地域を中心に設置されている。防鹿柵によってニホンジカの侵入を防止できた場合の虫媒植物及び訪花昆虫の保全効果は非常に大きく、長野県霧ヶ峰の半自然草原で実施された研究では、柵外と比べて柵内の虫媒植物の種数、花序数、チョウ類及びマルハナバチ類の種数と個体数はいずれも有意に増加した(Nakahama et al. 2020)。このように、防鹿柵は、柵内の虫媒植物と訪花昆虫の多様性維持に高い効果を持つといえる(図4)。

一方で、防鹿柵自体が抱える問題も存在する。まず一つは、設置や維持のコストが大きいことである。防鹿柵を設置する際の資材費、設置時の人件費、メンテナンスの資材費や見回りの際の人件費などがかかり、とくに大規模防鹿柵や車道から遠い場所の防鹿柵については、コストが大きくなりやすいこと、また多雪地域では冬季に防鹿柵を撤去する必要があることなどに注意が必要である。
ニホンジカによる食害の発生後はなるべく早く防鹿柵を設置することが重要である。奥田ほか(2014)では、ニホンジカの個体数が増加してから13年後に防鹿柵を設置しても、餌資源である虫媒植物の開花数が少ない状況が続いていたためにマルハナバチ類の種数や個体数が十分に回復しなかったことが示されている。そのため、理想的にはニホンジカによる植生改変が起こる前に、ニホンジカを排除することが重要と指摘している(奥田ほか 2014)。また長期的には、ニホンジカの個体数管理も重要と考えられる。しかし、これらは植生や訪花昆虫の回復には短期的には大きな効果はないようだ。例えば、兵庫県においては17万頭のニホンジカが生息すると推定されており、2010年以降は毎年3.6–4.9万頭以上を駆除している(兵庫県 2024)。その結果、兵庫県におけるニホンジカの個体数は増加からやや減少傾向に転じた。それにもかかわらず、植生被害の大きい北播磨~但馬地域では植生やチョウ類が回復していない(近藤 2013)。ニホンジカの高密度地域の拡大をふせぐための個体数管理は重要であるものの、このようにニホンジカの個体数管理の効果が虫媒植物や訪花昆虫の多様性にすぐに現れない可能性もある。
今後の訪花昆虫の保全を考える際に生息地の再生は非常に重要であり、都市部において養蜂などのために生息地が造成される事例がある(小松ほか 2020)ほか、絶滅危惧種の保全の際にもしばしば生息地の再生が実施される(近藤 2017)。生息地の造成や再生においては、その景観の中で訪花昆虫が生活環を完了させられるように配慮すべきである。具体的には、成虫が採餌する虫媒植物のほか、鱗翅目の場合は幼虫の寄主植物や共生生物、ハナバチ類・カリバチ類の場合は営巣地などに配慮する必要がある。
まず、訪花昆虫の餌資源となる虫媒植物や寄主植物の再生について紹介する。種子植物においては以前より生物多様性に配慮した緑化が進められており、法面緑化などで多くの実施例がある(山田 2016)。近年は単純に在来種を植栽するだけではなく、遺伝的撹乱を防ぐために導入先と近隣の地域から得られた株(地域性種苗)を植栽に用いるなどの重要性が指摘されている(今西 2022)。訪花昆虫の餌資源を確保するために虫媒植物や訪花昆虫の寄主植物を植栽する場合、こうした地域性種苗を使用することが重要だろう。なお、虫媒植物は単一や少数の種を植栽した場合、開花期以外に餌資源として利用できなくなってしまう。そのため、可能な限り開花期や花の形態の異なった多様な虫媒植物を植栽する必要がある。また、単一のパッチではなく、複数のパッチを造成することにより、訪花昆虫がメタ個体群を形成しやすくなり、訪花昆虫各種の集団としての頑健性がより大きくなることが期待できる(Niemuth et al. 2021)。さらに、一部のチョウ類では、幼虫期をアリ類に依存(アリ幼虫の捕食、働きアリによる摂餌・防衛など)していることから(白水 2006)、こうした種を保全する場合にはアリ類との関係性についても配慮する必要がある。
見落とされがちではあるが、ハナバチ類では営巣地の保全も非常に重要である(Harmon-Threatt 2020)。ハナバチ類は種によって営巣地が異なり、裸地、崖、ネズミ類の巣穴、植物遺体など様々な場所に営巣する(木野田ほか 2013; Harmon-Threatt 2020)。特に崖や裸地などは小規模な開発で破壊されることが多いが、こうした地形はハナバチ上科にとって重要な営巣地として機能していることもあるので、生息地の造成や再生の際には、過度に破壊しないよう配慮することが重要かもしれない。
最後に、ハチ類の人工巣であるビーホテル(インセクトホテル、バグホテルとも、図5)について紹介する。ビーホテルは、ハナバチ類やカリバチ類が利用する人工巣を指す。成虫はビーホテルに産卵し、生まれた幼虫のための餌資源(花蜜や昆虫、クモなど)を運び込む。借孔営巣性ハナバチのためのビーホテルの資材としては一般的にタケ類などのイネ科草本の茎を束ねたものが使用されるほか、木材に多数の穴を開けたものが使用され、雨除けや持ち運びの都合上、屋根のついた形状で設計されることが多い(MacIvor 2017; Rahimi et al. 2021)。日本国内ではカリバチ類やハナバチ類の観察を目的とした竹筒トラップの設置が1990年代から2000年代に多く実施された(橋本・遠藤 1994; 須賀ほか 2001)。また、東北地方のリンゴ農家などでは、果樹の送粉を担うマメコバチOsmia cornifronsの人工巣の設置を古くから実施されている(北村 1975)。しかし、国内においてビーホテルを対象とした研究事例は多くない。一方で、ヨーロッパなどでは都市部を中心に訪花昆虫の保全が盛んに実施され、近年は、個人や公園の庭に、ハナバチ類の営巣場所となるビーホテルが設置されることも多い。保全効果の高いビーホテルの設置方法なども海外で多数の研究例があり(MacIvor 2017; Rahimi et al. 2021; Prendergast 2023)、国内で大いに参考になるだろう。例えば、Prendergast(2023)は、巣穴は直径4 mmや7 mmの場合に営巣率が高く、また、周囲の在来草本の花数が増加することで、営巣するハチ類の適応度が上昇したことを報告している。なお、これらの多くはヨーロッパにおける研究事例であることに注意が必要である。日本国内でもより保全効果の大きいビーホテルについて検証しておく必要がある。日本ではコハナバチ科やヒメハナバチ科などの地中営巣性ハナバチ類も多く分布している(多田内・村尾 2014; Nagamitsu et al. 2024)が、これらはイネ科草本の茎でできたビーホテルには営巣できない。今後の方向性の一つとして、地中営巣性ハナバチ類のためのビーホテルの開発も進める必要があるだろう。

ただし当然ながら、天敵、共生生物、化学物質、周囲の景観、乱獲など、訪花昆虫の存続を脅かす要因は多岐にわたり、枚挙にいとまがない(環境省 2014; IUCN 2025)。そのため、生息地の造成や再生に終始するのではなく、問題が生じた場合には問題に応じて適宜対処する順応的管理により生物多様性を維持・復元していくことが重要である。
本稿では、訪花昆虫と虫媒植物の現状と減少要因、その保全手法について紹介した。今後の課題も数多くあるものの、ここでは「日本における研究事例の充実」、「外来植物対策」、「気候変動対策」、「モニタリング・保全体制の構築」を紹介する。
これまでに述べてきたように、こうした研究事例の多くは海外で実施されており、日本国内における研究はあまり多くないのが現状である。海外における研究成果が日本国内にも適用されることは大いに期待されるものの、一方で生物相や気候が異なる以上、海外で効果のある保全手法が国内でも適用できるとは限らない。例えば、日本ではアメリカやイギリスと比べて温暖湿潤な気候であるために、草原や森林の遷移の進行を抑制するためには定期的な人為的撹乱(伐採や草刈り、火入れなど)が必要である(Nakahama et al. 2016; Hayamizu et al. 2024)。また、多くの訪花昆虫の研究はハナバチ類やチョウ類に偏っているものの、ハナアブをはじめとする双翅目昆虫も送粉者として重要な役割を果たしていることが知られている(Doyle et al. 2020)。このため、双翅目などのあまり研究が進んでいない分類群について知見を集める必要がある。このように、訪花昆虫の保全再生を見据えた研究を、日本の様々な生態系、分類群、地域を対象に進めていくことが重要である。
訪花昆虫の保全再生をするうえで欠かせない課題が、外来植物の優占した土地の管理である。国内ではセイタカアワダチソウSolidago altissima L.やツルニチニチソウVinca major L. などの侵略的外来種が優占することで、訪花昆虫にとって餌資源の乏しい地域が多数見られる。例えばセイタカアワダチソウが優占した植生では、セイタカアワダチソウの開花期には一時的に大量の餌資源を訪花昆虫に供給するものの、ほかの虫媒植物の多様性が喪失することで(村中・鷲谷 2001)、開花期以外の餌資源が減少してしまうことが予想される。訪花昆虫の成虫の活動期を通して餌資源(花蜜や花粉)が安定的に供給される必要があることから(Nicholson et al. 2021)、餌資源の供給される時期を制限してしまう侵略的外来種は、訪花昆虫の多様性の維持には大きな脅威となりえるだろう。こうした地域において、セイタカアワダチソウなどの外来種を駆除し、在来草本の優占する植生に再生するために土壌に塩化アルミニウムの処理が有効だとする研究成果もあるものの(平舘ほか 2012)、現状では社会実装が広範になされているとはいいがたい。今後は、効率よく侵略的外来種の植物を駆除し、在来草本の優占する植生に戻す技術開発が不可欠だろう。
最後に、21世紀以降の気候変動が、生息適地の変化や縮小、虫媒植物や寄主植物とのフェノロジーのずれなどを引き起こし、多くの訪花昆虫にとって減少要因となりうることが指摘されている(Forrest 2015; Vasiliev and Greenwood, 2021)。気候変動は全球的に生じる問題であることから、長期的にはグローバルな対策が求められている。一方で、こうした気候変動に対するローカルな保全施策としてどのようなことが考えられるかは、今後の訪花昆虫の保全再生をするうえで大きな課題となるだろう。
日本国内では訪花昆虫や虫媒植物を含め多くのナチュラリストが活躍されており、また訪花昆虫や虫媒植物の生息には、研究者や行政、企業だけでなく農業者、林業者、養蜂家、市民など異なるステークホルダーが関わっている。30 by 30やESG投資などといった生物多様性保全の動きが世界的かつ国家的に重要視されている昨今において、こうした多くのナチュラリストやステークホルダーの長所を活かした有意義なモニタリング・保全体制の構築が非常に重要だろう。イギリスでは2005年から「環境スチュワードシップ」(Environmental Stewardship)が開始しており、こうした海外の取り組みも、日本国内における訪花昆虫や虫媒植物の保全体制構築には参考になると期待できる。
本研究はJSPS科研費24K01774の助成を受けたものである。