保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
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金原ダム湖におけるオオクチバスの機能的根絶
坪井 潤一片野 修水本 寛基荒木 仁志
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論文ID: 2224

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Abstract

オオクチバスMicropterus nigricansは水圏生態系に大きな影響を与えることからIUCNの世界の侵略的外来種ワースト100に指定されている。オオクチバスの駆除は多くの湖沼や河川で行われているが、小規模な水域における池干しを除くと、完全駆除に成功した事例は少ない。そこで本研究では、長野県の金原ダム湖において2007年からオオクチバス根絶のため、シュノーケリングによる産卵床の除去、仔稚魚のすくい取り、未成魚と成魚のカゴ網、投網、刺し網、手づかみ、釣り、水中銃による捕獲を行い、シュノーケルを用いた潜水調査や環境DNAの解析により個体群のモニタリングを行った。幼魚の捕獲にはアイカゴが、大型魚を除く未成魚、成魚については岸の水深変化に対応した「かけ上がり用刺し網」が、大型魚については水中銃が効果的であった。年間捕獲個体数は2010年に1,472個体に達した。産卵床数は2012年に131箇所に達したが、その後急速に減少した。2014年には産卵床の見逃しにより約5,000個体の稚魚が生じた。しかし、陸上および水中から、たも網を用いて捕獲を行い、その大部分が捕獲された。興味深いことに、オオクチバス駆除にともなって、トウヨシノボリRhinogobius kurodaiが増加し、オオクチバスの卵を捕食するところが確認された。2016年以降産卵床は形成されず、成魚についても、2018年に1個体が捕獲されてから観察されなくなった。以上の結果から、金原ダム湖のオオクチバスは完全に駆除されたか、わずかに生息していたとしても残存個体が高齢化するなどして新たに繁殖することができず、機能的に根絶したものと考えられる。一方、オオクチバスの種特異プライマーを用いた環境DNA解析は2018年から2022年にかけての計4回全てで微量ながら陽性となっており、少なくともダム湖周辺にはオオクチバス生息の可能性が示唆された。このことから、ダム湖のオオクチバス根絶後も再導入リスクは依然残されており、今後も継続的・定期的なモニタリングが重要と考えられる。

Translated Abstract

Largemouth bass (Micropterus nigricans) is listed among the world’s 100 worst invasive alien species by the International Union for Conservation of Nature (IUCN). Because of M. nigricans’ serious negative impacts on aquatic ecosystems that it invades, major efforts have been made to control and locally eradicate it. However, there are few reports of its complete eradication from lake or river systems. Here, we discuss a comprehensive program of M. nigricans eradication in Kanabara Dam Lake, Nagano Prefecture, Japan. Operating since 2007, the program includes the removal of spawning beds via snorkelling; removal of larvae and fry through scooping; and capture of immature and adult fish via net traps, cast nets, gill nets, fishing, and spear guns, and by hand. The M. nigricans population was monitored via snorkelling and environmental DNA analysis. Net traps were effective for capturing smaller fish, whereas 3-meter-long gill nets and spear guns were effective for larger fish. Yearly catches of M. nigricans reached a maximum of 1,472 in 2010, excluding young-of-the-year. The number of spawning beds reached a maximum of 131 in 2012 but decreased rapidly and substantially thereafter. In 2014 > 5,000 larvae were observed around a few spawning beds, having been missed at the time of spawning. Most of these larvae were quickly caught via hand nets from the shore or by snorkelling. Interestingly, Amur goby (orange type, Rhinogobius kurodai) increased in abundance during the eradication program and preyed upon M. nigricans eggs. We found no evidence of new M. nigricans spawning beds after 2015, and the last adult was captured in 2018. These results suggest that no breeding of largemouth bass occurred after 2018 and point to functional eradication with no further population growth in the lake. On the other hand, our environmental DNA analysis detected M. nigricans-specific DNA in all four surveys conducted between 2018 and 2022. Therefore, largemouth bass may still persist in or around Kanabara Dam Lake, although the estimated DNA concentrations were very low and we found no sign of increase after 2018. This suggests that, despite the apparent success of eradication efforts, the risk of reintroduction remains and ongoing monitoring is needed.

はじめに

オオクチバスMicropterus nigricansが生態系の中で在来生物に著しい悪影響を及ぼすことは広く知られている(杉山 2005;Maezono et al. 2005;高橋 2006;藤本ほか 2009;Tsunoda and Mitsuo 2012)。そのためにオオクチバスは日本において環境省によって特定外来生物に指定され(中井 2006)、各地で駆除が行われている。しかし、小規模な水域における池干しを除くと、完全駆除に成功した事例は少ない。池干しができない湖沼で完全駆除を達成するためには、稚魚から成魚までのすべての発育段階のオオクチバスを捕獲し、さらに繁殖を完全に抑制することが必要である(片野 2010)。

 これまでのところ、国内では水深が比較的浅い皇居外苑濠のいくつかにおいて、電気ショッカーボートを繰り返し稼働した結果、オオクチバスを完全に駆除した事例がある(工藤 2015)。宮城県の伊豆沼や滋賀県の琵琶湖においても、電気ショッカーボート等を用いた駆除は成果を挙げている(藤本 2013;上垣・佐野 2015)。電気ショッカーボートは効果的な駆除手法であるが、水深の深い湖沼では、繁殖期を除くと駆除効率は低下する(藤本 2013)。海外でも外来魚の駆除は行われているが(Britton et al. 2011)、池干しのほか薬品を用いた化学的防除(全生物の死滅化)、電気ショッカーを用いた除去が大部分を占め(Rytwinski et al. 2019)、それ以外の方法でオオクチバスの完全駆除に成功した事例はみあたらない。

コクチバスMicropterus dolomieu では、栃木県の中禅寺湖(武田ほか 2002)および山梨県の本栖湖(大浜ほか 2012)において、潜水調査や産卵床の駆除によって根絶が達成された事例がある。これらの湖沼では完全駆除まで6~8年かかっているが、その間に捕獲した稚魚を除くコクチバスは100個体以下であり、卵が確認された産卵床も10箇所以下であったので、侵入初期に駆除に成功したと考えられる。

 しかし、水深の深い大きな湖沼の全域にわたって個体数を増加させたオオクチバスを、水を抜いたり薬品で全滅させたりすることなく完全に駆除した事例はない。そこで本研究では最大水深が16m、湖周は800mある長野県の金原ダム湖において実施したオオクチバス駆除について報告すると共に、それに伴って実施した潜水目視・環境DNA等の調査結果を基に、本湖におけるオオクチバスの現状と今後について議論する。

方 法

調査場所 

長野県東御市にある金原ダム湖(北緯36度24分30秒, 東経138度21分44秒, 標高1,132 m)が対象水域である。本ダムは2000年に長野県が完成させた高さ36 mのロックフィルダムであり、湛水面積は4.0 ha、湖周は800 m、最大水深は16 mである(図 1)。ダム湖の周囲は山林に囲まれており、ダムより上流に人家はない。ダム湖の北東に金原川が流れ込み、金原川から魚類が流入することはできるが、急勾配と堰堤のために、金原ダムから上流へ魚類が遡上することはできない。

金原川から流入するゴミを阻止するために、流入地点からおよそ50 m下流にダム湖を横切る形でゴミ除けネットが設置されていた(図1)。ネットの網目は6 cmで、ネットが固定されている浮きは直径56 cm、長さ85 cmの円柱形であった。35個の浮きがダム湖内に設置されていた。ネットは湖面から水中1.3 m程度まで垂下されており、魚類はネットの下部を通過することができる構造であった。

通常は、金原川からダム湖に流入した分の水が、そのまま流出口から溢れて流出する。このほか、緊急時のための排出口もあり,2013年にこの地域の雨量がきわめて少なかった状況で、農業用に放水されたことがあった。その際、水位が50~80 cmほど低下した。その他の時期では、水位の変動は20 cm以内であった。

ダム湖内の水の透明度については、2015年に5回、シュノーケルを装着した筆者らが沖へ出て、直径30 cmの白い円盤を上から沈めて見えなくなる水深として求めた。透明度は6月8日に7.5 mを記録したが、7月6日には1.5 m、7月11日と8月11日には0.8 mに低下し、9月2日には1 mであった。水温については2009~2012年の調査日ごとに、ダム湖の南西端で午前中にアルコール水温計を用いて、水面下10㎝で計測した。2009年の6月2日および10月20日に記録した14.3 ℃がもっとも低く、2011年7月15日の25.8 ℃がもっとも高かった。

ダム湖の底部は直径80 mmまでの礫と砂礫から成り、部分的にコンクリートに覆われていた。水深が10 mまでの浅場を中心に水生植物(ホザキノフサモMyriophyllum spicatum、ヒビミドロUlothrix flacca、およびアオミドロの仲間Spirogyra sp.)が繁茂していたが、水温の上昇する夏季においても、湖全体を覆うことはなく、その被度は6月初旬で10 %以下、8月でも20 %以下であった。魚類以外の脊椎動物としては、カルガモAnas zonorhyncha、カイツブリTachybaptus ruficollis、キンクロハジロAythya fuligula、カワウPhalacrocorax carbo、カワネズミChimarrogale platycephalusが、もっとも多い場合にそれぞれ2羽、3羽、16羽、5羽、1匹観察された。ダム堤体の一部を除いて一般の立ち入りと魚釣りは禁止されており、オオクチバスが放流された経緯は不明である。釣り人がダム湖で釣りをすることがしばしば観察され、筆者らが設置したオオクチバスを捕獲する漁具が、岸に手繰り寄せられていることがあったので、上田警察署に見回りを要請した。

調査時期

 調査は2007年から2022年まで16年にわたって行われた。このうち2007~2008年は予備調査期間、2009~2018年は本調査期間、2019~2022年は完全駆除確認期間と位置づけられる。調査日程は年によって異なったが、5月7日から10月20日の間であり、ダム湖に立ち入って調査を行った日数は予備調査期間では年間11~16日、本調査期間では5~79日、完全駆除確認期間では2~3日であった。完全駆除確認期間には、産卵床が形成される6月初旬から7月初旬の間に、成魚の探索のほか、産卵床、稚魚、幼魚の有無を調べた。調査にあたっては、金原ダム湖を管理する上田建設事務所の同意のもとに、長野県による特別採捕許可を取得した。調査は4~18時に行い、夜間には行わなかった。

産卵床の確認と卵の駆除

 繁殖期である6月から7月にかけては、ダム湖の透明度が高かったため、産卵床と卵の確認は湖岸を一周し目視によって行った。ただし、予備調査期間であった2007、2008年には、調査開始が繁殖期の中期であったり、調査日数が少なかったりしたために、産卵床の見逃しが生じた。また、2013年まで図1の丸囲みのエリアにおいては、水深が約1.6 mあるうえ、岸がコンクリート壁となっており、立ち入ることができなかった。しかし、2014年以降は、シュノーケルを用いた潜水調査を併用することで、それまで立ち入ることができなかったエリアを含め、ダム湖全域の湖岸に沿って産卵床と稚魚の出現を確認できるようになった。卵が確認された場合には、たも網を用いて砂利ごとすくうなどして除去した。シュノーケリングでは、湖岸から10 m沖までをジグザクに潜水し、図1の丸囲み部分や、ゴミ除けネット周辺も含め、湖面全体の23.5 %にあたる9,380 m2を潜水目視により観察した。

稚魚の駆除

 陸上から稚魚を確認した場合には、網目が1 mm、口径が60×60 cm、奥行き60 cm、柄の長さが1.5 mのたも網(株式会社イリサワ)を用いてすくい取った。2014年には水深が2~3 mの比較的深いエリアで産卵、稚魚のふ化が確認されたため、シュノーケルとドライスーツを着用したうえで、潜水しながら稚魚の駆除を行った。この場合、稚魚を捕獲したのち、網の部分を水上に上げたまま岸へ運ぶ必要がある。このために、上述したたも網のほかに、網目が2.5~3.0 mmの市販の三角たも網(SIYOUEI, No. 255, 網の縦33 cm, 横35 cm, 深さ23 cm, 柄の長さ1.5 m)と三日月サデ網(藤本重兵衛商店, 横105 cm, 高さ80 cm, 深さ70 cm)を併用し、必要に応じて、三角たも網で稚魚をサデ網に追い込んで捕獲した。

未成魚, 成魚の捕獲

 本研究においては, 便宜的に標準体長16 cm以上の個体を成魚、16 cm未満を未成魚とした。標準体長16 cmは武居(2006)に従って換算すると全長19.2 cmとなる。オオクチバスの雌の成熟サイズは全長で約20~25 cmと報告されており、雄ではもう少し小さくても成熟する(吉沢 1992)。これらの知見から標準体長で16 cm以上のオオクチバスは、ほぼ成熟サイズに達した個体であると判断した。

未成魚および成魚の捕獲は、カゴ網、投網、刺し網、手づかみ、釣り、水中銃によって行った。このうち、手づかみについては、岸近くで弱っていた体長18.9 cmの個体を1回だけ捕獲したものである。投網については2007年と2009年に、目合いが6 mm、26節、1,200目、裾周りの直径12.8 mのものを合計7回試行的に投げ、合計40個体の未成魚を捕獲したが、効率的でないために以後使用しなかった。捕獲したオオクチバスの未成魚と成魚については、一部の個体を除いて標準体長と体重を計測した。成魚については、捕獲時に腐敗して正確に計測できなかった個体や作業時に野鳥にさらわれた個体を除いてすべて計測した。以下に主な漁具の使用方法について述べる。

1)カゴ網

 2種類のカゴ網を用いた。オリカゴ(縦74 cm, 横48 cm, 高さ30 cm, 図2)はカニなどを捕獲する漁具であるが, 外来魚の幼魚を捕獲するために、メッシュサイズを10 mm、2つの入り口の口径を11 cmに改良したものを使った。アイカゴ(上山商店, 図3)は、底面の直径が72 cmの円形で高さが68 cmのドーム形をしている(滋賀県水産試験場 2007)。本研究では、そのメッシュサイズを1 cm、開口部の直径を8 cmに改良したものを用いた。いずれのカゴ網でも、内部に集魚剤は入れずに設置し1~7日後に回収した。

 カゴ網は2009年から2015年にかけて用いた。このうち2009年にオリカゴおよびアイカゴを併用し、1~4日間の設置によるオオクチバス捕獲個体数を比較したところ、オリカゴでは56回仕掛けて41個体(0.73個体 / 回)だったのに対し、アイカゴでは52回仕掛けて386個体(7.4個体 / 回)であり、アイカゴの方が効果的であると判断されたため、以後アイカゴのみを使用した。 なお、アイカゴの設置については、胴長靴で立ち入ることが可能な湖岸全域において実施した。

2)刺し網

当初は網目の異なる刺し網を重ね合わせた三枚網を用いた。2007年には、長野県水産試験場が開発した長さ1 m、高さ80 cm、中網の目合いが2寸(1寸は3.03 cm)あるいは2.5寸、外網の目合いが30 cmの小型三枚網(河野ほか 2003)を横に3枚連結したもの(N型, Normal type, 図4上段)を用いた。しかし、小型三枚網は本来、オオクチバスなど産卵床を守る雄親を捕獲する漁具であるため、金原ダムの湖岸の水深変化に対応した「かけ上がり用刺し網」を新たに開発した(図4下段)。かけ上がり用刺し網(S型, Slope-fit type)は、長さが3 mで二つ折りになっており、その高さは手前が70 cm、奥側が110 cmで、ダム湖岸に対して垂直に仕掛けると、かけ上がりに適合する。N型の重量が1200~1300 gであるのに対して、S型の重量は800~850 gと軽く運搬しやすい。

S型の中網の目合いは、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5寸の7種類とし、三枚網のほか、中網のみの一枚網も併用した。網部分の糸の太さは、外網では4号(直径0.330 mm)、中網では1~2号(直径0.165~0.235 mm)である。網の上端に、N型では1 mにつき5個、3 mにつき15個の赤茶色の浮き(長さ9 cm、直径2 cm)が、S型では1.5 mにつき8個、3 mにつき16個の浮きが装着されている。また網の最下部にはひも状のおもりが、N型では2本、S型では1本付けられ、いずれの網も自立する底網として用いられた。

N型、S型ともに、湖岸に対して垂直に仕掛けた。岸から最も近い三枚網の端までの距離は0.5~4 mであった。1名が胴長靴を履いて岸から入水し、長さ4 mの硬い釣り竿の先に鈎をつけたものを網の奥側にあて、沖へ押し出した。N型は3個の網を連結しているので曲がりやすく設置に時間がかかったが、S型は容易に仕掛けることができた。設置後、1~7日後に、設置の際に用いた鈎付きの釣り竿を三枚網の岸寄りの一端にあて、手前に引いて回収した。捕獲された魚については、網からはずすように試みたが、大型魚の場合には網を切断して回収することもあった。捕獲した魚は、網ごとに識別できるようにヒレの一部を切除し、研究所に持ち帰ってから標準体長と体重を計測した。なお2007年にはN型のみを用いたが、2008年と2009年には両型を併用し、2010年以降はS型のみを用いた。刺し網の設置については胴長靴で立ち入ることが可能な湖岸全域において行い、調査期間を通して合計1,604回実施した。

刺し網が釣り人によって岸に引き寄せられていたことがあったが、その時点で回収したものとした。なお、刺し網で捕獲したオオクチバスの一部は腐敗が進行したために計測しなかった。カゴ網や刺し網で多数のオオクチバスが捕獲された場合には、一部を計測しなかった。

2009年の資料を用いて、N型とS型による1日あたりの捕獲個体数(CPUE, catch per unit effort)を比較した。設置日による捕獲個体数の違いを考慮し、同じ設置期間におけるCPUEが対をなすとみなし検定したところ、中網目が2寸でも2.5寸でも有意な違いは認められなかった(Wilcoxon signed-rank test, 2寸: n = 11, z = 0.48, p = 0.635; 2.5寸: n = 10, z = 0.26, p = 0.798)。一枚網と三枚網によるCPUEの比較については、2011年の資料を用いて行った。ダム湖の南西岸に沿って、10 mおきに1枚網と3枚網を交互に2つずつ合計4つ設置し、さらに日によって配列を変えた。得られた結果から、一枚網と三枚網それぞれのCPUEの平均値を調査日ごとに求めた。それらを対データとして検定したところ、中網が1.5寸でも2寸でも、一枚網と三枚網の間で有意差は認められなかった(Wilcoxon signed-rank test, 1.5寸: n = 8, z = 0.97, p = 0.332; 2.5寸: n = 7, z = 1.29, p = 0.200)。そのため、刺し網による捕獲個体数の集計にあたっては、中網目の違いのみを区別し、N型とS型、および一枚網と三枚網の違いは区別しないこととした。

3)釣り

釣りについては、予備調査期間に他の水域で効果的であった生きたスジエビPalaemon paucidensを餌として用いたが全く釣れなかった。その後、片野・坂野(2010)で効果的であった長さ8.5mの釣り竿と、生きたウグイTribolodon hakonensisやモツゴPseudorasbora parvaを用いた餌釣り、およびワーム、シンキングミノー(小魚に似せた沈むタイプ)、水面上に浮くセミに似せたものなど複数の疑似餌を用いたルアー釣りを行った。

4)水中銃(スピアガン)

水中銃としてBeuchat 社のArka Sports 1000および同社マンディアルコンペティション750を用い、3種類の方法でオオクチバスを捕獲した。2名が一組になり、ドライスーツとシュノーケルを着用した射手が湖岸に沿って泳ぎ、もう1名がそれをサポートする方法(遊泳型)を基本とした。このほか、シュノーケルを着用した1名が岸近くの1地点に潜行し、目の前を通過するオオクチバスを撃つ方法(待ち伏せ型)、および陸上から水中銃だけを水面下に沈めて、潜らずに撃つ方法(陸上型)も行った。水中銃では合計145個体のオオクチバスを捕獲したが、遊泳型によるものが118個体、待ち伏せ型22個体、陸上型5個体であった。

水中銃の矢は固定されているヒモの長さを越えてはオオクチバスに届かず、その射程は約4 mであった。そのため、オオクチバスが遠くにいる場合、速く泳いでいる場合、横向きでない場合には当たりにくかった。また、学習による捕獲効率の低下もみられた。水中銃の導入初期には、オオクチバスが水中銃や人間を恐れずに当たりやすかったが、慣れてくると速やかに逃げるようになった。オオクチバスが大型であるほど、また透明度が高いほど当たりやすかった。逆に、透明度が1 mを下回ると捕獲効率は低下した。2010年の7月5日に行った調査では、体長13.6~46.1 cmのオオクチバスを水中銃によって捕獲したが、的中率は75.0 %(27 / 36)であった。

他魚の確認

 2007年の6月8日にダム湖岸を一周して観察を行ったが、オオクチバス以外の魚種は確認されなかった。そこで、もんどり網(縦25 cm、横25 cm、高さ50 cm)とよばれる魚が一度入ると出られなくなるタイプの漁具を8つ用意し、サナギ粉を団子状にしたものを中に入れた。湖岸全域の岸から2~5 mの範囲に設置し、2時間後に回収したが、何も捕獲されなかった。しかし、オオクチバスの駆除を進めるうちに、トウヨシノボリRhinogobius kurodaiが観察されるようになったため、2013年から2015年に、1辺1 mの方形区を10個作り、偏りがないように湖岸全域の岸から1~3 mの範囲に投入し、2時間後に方形区内のトウヨシノボリを計数した。このほか、刺し網に他魚が掛かった場合には、その魚種と標準体長を記録した。

資料の解析 

タモ網によって捕獲された当歳魚の標準体長は最大で4 cmであったので、4 cm以下の個体を稚魚とした。漁具によって捕獲されたオオクチバスの体長を比較するため、オオクチバスの未成魚および成魚の体長を、サイズ1(4 cm以上8 cm未満)、サイズ2(8 cm以上16 cm未満), サイズ3(16 cm以上24 cm未満)、サイズ4(24 cm以上32 cm未満)、サイズ5(32 cm以上)に分類した。また、本研究では、繁殖の規模を定量化するために産卵群数を用い、卵が確認された産卵床数と、産卵床を見逃した結果出現した稚魚群数の合計と定義した。

調査にかかる努力量は、実際にダム湖で費やした時間を(努力時間×調査人数)で求め、すべての調査日で合計した。なお、刺し網の破損部分の修理に要した時間は含めなかった。

環境DNA調査

2018年6月1日と7月3日、2020年6月8日、2021年6月7日、2022年6月7日に、潜水目視を行う直前に、かつて産卵床が頻繁にみられた地点(図1右下)と、ダム湖内の湖水流出部(図1左下)の2カ所において環境DNAサンプルの採集を行った。サンプリング手順は環境DNA学会が発行する環境DNA調査・実験マニュアル(Minamoto et al. 2021)に基づいており、本研究ではチャック付きポリ袋(ユニパックK-8サイズ、セイニチ)を用いて環境水を1 L採集した後、50 mLシリンジ(TERUMO)とステリベクスフィルター(孔径 = 0.45 μm, Merck Millipore)を用いてろ過処理を行った。環境水はろ紙1枚当たり500 mL濾過し、1地点あたりろ紙2枚分のサンプルを得た。ろ過処理後、フィルターカートリッジ内の環境水を十分に排出した上で、RNAlater(Thermo Fisher Scientific)をDNA保存液として充填してサンプルを固定した。1日の採水が終わった後、精製水500 mLを環境水と同じ手順でろ過し、その日の採水・ろ過作業におけるサンプル汚染の有無を確かめるためのフィールドネガティブコントロールサンプルとして、環境水サンプルと一緒にクーラーボックスに入れて研究所に持ち帰った。研究所に持ち帰ったサンプルは‒20 ℃で冷凍保存し、その後の解析のため北海道大学大学院農学研究院に冷凍便で送付した。

ろ紙サンプルからのDNA抽出は、北海道大学大学院農学研究院内の分子実験室において、先行研究(Yatsuyanagi et al. 2020)に従いDNeasy Blood&Tissueキット(Qiagen)を用いて行った。DNA抽出の際には新品のステリべクスフィルターをろ紙サンプルと同じ手順で同時に処理し、DNA抽出作業におけるサンプル汚染の有無などを確かめるための抽出ネガティブコントロールサンプルとした。抽出DNAの最終収量は100 μL / フィルターとし、DNA低吸着チューブ(Eppendorf)に入れて定量PCRを行うまで-25 ℃冷凍保存した。

定量PCRは同じく北海道大学大学院農学研究院内の、DNA抽出を行った部屋とは異なる分子実験室において先行研究(Yamanaka et al. 2016)のプロトコルに準じたうえで、StepOnePlusTM(Applied Biosystems®)を用いて解析を行った。オオクチバス種特異プライマー・プローブはYamanaka et al.(2016)のものを使用し(LMB-CytB-F, 5’-GCCCACATTTGTCGTGATGTAA-3’; LMB-CytB-R, 5’-AGCCCCGGCCGATATG-3’; LMB-CytB-Pr, 5’-NED-CTAACGGTGCATCCTTCTTTTTCATCTGCA-BHQ-3’)、PCR反応液には2×TaqManTM Gene Expression Master Mix(Applied Biosystems®)を使用して、DNAサンプルを2 μL、プライマーを900 nM、プローブを125 nMの濃度になるように添加した上で、反応液全量を15 μLに調整した。PCR反応の温度条件もYamanaka et al.(2016)に従い、ステップ1では50 ℃で2分ののち95 ℃で10分、ステップ2では95 ℃で15秒ののち60 ℃で60秒のサイクルを55サイクル繰り返した。すべての定量PCR解析には環境DNAサンプルだけでなく、1×101、1×102、 1×103、1×104、1×105コピー / μLまでの5系統の濃度に調整した合成DNAを使用した内部標準サンプル、DNAサンプルの代わりに純水を使用した、定量PCR解析におけるサンプル汚染の有無などを確かめるためのPCRネガティブコントロールサンプルを併せて供した。環境DNAサンプルについては6 PCRレプリケート / フィルター、内部標準サンプルおよびPCRネガティブコントロールサンプルについては3 PCRレプリケート / サンプルになるように反復解析を行った。内部標準サンプルの解析結果をもとにした各定量PCR解析における検量線の平均R2値は0.995(標準偏差 = 0.006)で、平均PCR効率は0.975(標準偏差 = 0.118)であった。フィールドネガティブコントロールサンプル、抽出ネガティブコントロールサンプル、PCRネガティブコントロールサンプルのいずれからもオオクチバスのDNAは一切検出されなかったことから、環境水サンプルから検出されたオオクチバスのDNAは真に環境水に含まれていたものと考えられる。

結 果

オオクチバスの産卵群および捕獲個体数の推移

オオクチバスの産卵床で卵が確認されたのは、2008年の6月10日が最も早く、2012年の7月25日が最も遅かった。産卵初期に、産み付けられていた卵の一部あるいは全部が死んでいたことが6例認められた。予備調査のため調査努力量が不十分であった2007~2008年を除くと、産卵群数は2009年の42群から2012年の131群へと増加したが、その後2013~2015年は3~4群に減少し、2016年以降は全くみられなくなった(図5)。産卵群のうち、ふ化後の稚魚群については2010~2013年には観察されなかったが、2014年には最低でも2か所の産卵床の見逃しにより確認された。たも網を用いて仔稚魚の捕獲を行い、陸上から約4,000個体、水中から830個体を捕獲した。2015年には2か所で仔魚が浮上し、そのうち約800個体を駆除し、産卵床を守っていた雄親についても水中銃で捕獲したところ、翌日には仔魚は見られなくなった。2016年以降、産卵床も仔稚魚も観察されなかった。

稚魚を除くオオクチバスの捕獲個体数は、予備調査期間の2007年から2008年には100個体ほどであったが、カゴ網や目合いの小さな刺し網を用いるようになった2009年以降増大し、2010年に1,472個体に達した(図5)。総捕獲個体数はその後減少し、2019年以降オオクチバスは全く捕獲も観察もされなくなった。調査期間を通して、合計3,930個体のオオクチバスを捕獲した。捕獲した未成魚の最小個体は、標準体長4.1 cm、体重1.6 gであった。成魚の最大個体は、標準体長46.1 cm、体重2157.5 gであった。

オオクチバス残存個体の確率(尤度)の推定

最後にオオクチバスが捕獲された2018年以降、9回の潜水目視調査を行ったがオオクチバスは発見されなかった。オオクチバスは湖岸で産卵するため、潜水目視は繁殖期に行い、湖岸を中心に湖面全体の23.5 %を調査した。繁殖後も産卵床に残り、卵や稚魚を被食者から守るのは成熟雄のみであるが、成熟雌や未成熟個体も同じ水域を遊泳しており、実際、2018年の繁殖期における産卵床探索中に水中銃で捕獲した最後の1個体は成熟メスであった。本研究では成熟雄、成熟雌、未成熟個体を含む残存個体はダム湖内に水平的にはランダムに分布し、目視により探索地点周辺の全個体を検出できたと仮定した。仮に1個体が残存したとき1回の調査時に潜水目視エリア外に存在していて検出されない確率は76.5%である。9回の調査で一度も発見されない確率は76.5%の9乗であるため、1個体が残存したにも関わらず1度も発見されない確率(尤度)は8.97 %である。同様に2個体残存した場合に9回の調査で両個体が1度も発見されない確率は0.805 %である(図6)。繁殖可能性について、2個体ともに見逃し、それらが雌雄である確率は0.403 %と推定された。

漁具別捕獲個体数の推移

カゴ網(オリカゴおよびアイカゴ)については2009年から導入し、2009年に427個体、2010年に477個体を捕獲した(表1)。その後、捕獲個体数は減少し、2015年に15個体を捕獲した後、未成魚が見られなくなった。そのため、2016年以降、カゴ網を設置しなかった。アイカゴに限ると、合計312回仕掛けて1,016個体(3.26個体 / 回)を捕獲した。

刺し網(三枚網)の中網の目合いが0.8、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5寸のものを仕掛けた回数は、合計でそれぞれ72、145、523、594、239、17、14回であった。すべてを合計すると、1,604回仕掛けて2,660個体(1.66個体 / 回)を捕獲した。このうち、3.0寸と3.5寸の中網のものを仕掛けた場合、オオクチバスが捕獲された割合はそれぞれ5.9 %と7.1 %と低かった。刺し網による捕獲個体数は、2010年に964個体と最多となり、以降減少した(表1)。

釣りでは、2009年に生きた魚(ウグイ、モツゴ)を餌に用いて5個体、2012年に生きた魚および疑似餌を用いて18個体捕獲した。また、2013年と2014年に、生きた魚および疑似餌を用いて、それぞれ1個体と3個体捕獲した(表1)。合計で43時間行って27個体の捕獲(0.63個体 / 時間)と捕獲効率が低かったため、2015年以降、釣りは行わなかった。

水中銃では合計145個体を捕獲し(表1)、特に2014年以降、生息密度が低下したなかで、大型魚を捕獲するのに有効であった。繁殖期に産卵床の卵や稚魚を守る雄は警戒心が低いため当たりやすく、調査期間の後半に繁殖を抑制することにつながった。2017年以降は、他の漁法を用いることなく潜水調査のみを行い、湖岸およびゴミ除けネット付近(図1)を一周し、産卵床や仔稚魚の有無を確認しながら、遭遇するオオクチバスを水中銃で捕獲した。2017年と2018年に捕獲した最後のオオクチバス合計9個体は、すべて水中銃によるものだった。

各漁法によって捕獲されたオオクチバスの体長組成

 表1に示した漁法のうち、オオクチバスの捕獲に特に有効であったアイカゴ、刺し網(S型)、釣り、および水中銃の4漁法について、半数以上の捕獲個体の標準体長を測定し、体サイズ組成を算出した(図7)。アイカゴで捕獲されたオオクチバスの大半は16 cm未満の未成魚(サイズ1と2)であった。刺し網によって捕獲されるオオクチバスの体長は、中網の目合いによって大きく異なった(図7)。目合いが0.8寸の場合、8 cm未満のサイズ1と8~16 cmのサイズ2が合わせて98.9 %を占め、1.0寸の場合にはサイズ2が96.6 %を占めた。1.5寸ではサイズ2と3で97.6 %を占め、2.0寸ではサイズ3がもっぱら捕獲され、2.5寸ではサイズ3と4が合わせて93 %を占めた。3寸と3.5寸の網で捕獲されたのはそれぞれ1個体のみであったが、いずれも標準体長が30 cmを超えていた。釣りによって捕獲されたオオクチバスはほとんどが成魚であり、16~24 cmのサイズ3がもっとも多かった。水中銃でも成魚の捕獲が大半であったが、24~32 cmのサイズ4がおよそ半数を占め、より大型の個体を捕獲する上で有効であった。

調査に要した努力量の推移

努力量の合計は398日、1, 618人*時間であった(図8)。予備調査期間である2007~2008年の年間努力量は11~16日間で40時間程度であったが、その後努力量は増加し、2010­~2015には40日以上で100時間を超え、2011年には322時間に達した。多く用いた漁法のうち、カゴ網と釣りは一人で行うことができ、とくにカゴ網は設置したものを数日後に見回るだけであったため、少ない努力量で捕獲することができた。水中銃は多くの場合、二人で行い、一回につき2時間以内で完了したため、努力量は比較的少なかった。一方、刺し網では、新たに設置する時間と、すでに設置したものを回収し、魚を網からはずしたり駐車場まで運んだりする時間の両方がかかるため、2~3名で作業する必要があり、より多くの努力量を要した。

努力量は2013年に減少したが、2014年に産卵床の見逃しにより、ふ化した稚魚の捕獲を行ったため再び増加した。2015年には、最も多く79日の調査を行った。2016年以降、オオクチバスの残存個体数は減少し、主に水中銃による調査を行ったため、努力量は著しく減少した。漁法ごとの努力量および捕獲個体数についてはTsuboi et al (2023)を参照。総捕獲個体数を調査努力量で割った単位努力量あたり捕獲数(Catch per unit effort, CPUE)は、未成魚の捕獲を始めた2009年、2010年に著しく高く8を超えたが、2011年、2012年には3以下に、2013年から2018年には1以下に減少し、2019年以降にはオオクチバスが捕獲されなくなったので0になった(図9)。

オオクチバス以外の魚類

刺し網では、オオクチバスのほかにイワナSalvelinus leucomaenisとブルーギルLepomis macrochirusが採捕された。イワナは2009~2016年に合計16個体が捕獲され、その標準体長は21.8~37.8 cmであった。ブルーギルは2008年に1個体、2011年に4個体捕獲され、その体長は11.8~14.4 cmであった。

調査を開始した2007年には目視で観察されなかったトウヨシノボリは、2011年の8月8日に初めて約100尾の稚魚が浮上していることが観察された。その後、トウヨシノボリは湖底で頻繁に観察されるようになり、1㎡のコドラートあたりの観察数は、2013年に0~74個体(26.8±23.7, 平均±標準偏差)に達したのち、2014年には100.1±30.7、2015年には61.8±14.6と継続して確認された。2013年には、オオクチバスの産卵床に侵入し、その卵を捕食しようとするトウヨシノボリをオオクチバスの親魚が攻撃していたが、その後、産卵床を放棄し、卵も消失したことが観察された。2014年には、2箇所の産卵床において、トウヨシノボリがオオクチバスの卵を捕食する様子が観察され、翌日にはすべての卵が消失していた。

環境DNA調査

採水後の潜水目視調査で1個体ずつが確認されていた2018年6月1日と7月3日、採水2地点でのオオクチバスDNA平均検出数は2.75 / 12 PCRレプリケート、平均濃度は41.2コピー / Lだった。一方、前年から潜水目視ではオオクチバスが確認されなかった2020年以降、3年間にわたりおこなった同2地点での採水ではいずれの年にもオオクチバスDNAの検出がみられ、3年2地点のオオクチバスDNA平均検出数は2.0 / 12 PCRレプリケート、平均濃度は34.2コピー / Lだった(図10)。2020年以降の平均値は2018年に比べ検出数、環境DNA濃度ともにやや減少しているものの(それぞれ17.1 %, 27.3 %)、2021年のダム湖流出口においては、全体を通して最大の環境DNA濃度を検出するなど一貫した傾向はみられなかった。2018年と2020年以降との間で、検出数、環境DNA濃度いずれも統計的有意差はみられなかった(Mann-Whitney U test, 2018年: n = 4, 2020年以降: n = 6, 検出数 p = 0.580, DNA濃度 p = 0.670)。

考 察

捕獲戦略の評価

金原ダム湖では2007年から調査を始め、もっとも多い場合には稚魚を除くオオクチバスが1年間に1,472個体捕獲されたが、2016年以降産卵床は観察されず、2018年に成魚が1個体捕獲されてからは、すべての発育段階のオオクチバスが1個体も認められなくなった。岸際において産卵床が形成され、雄が卵やふ化後の稚魚を捕食者から守るという繁殖生態は、雄個体の発見効率を著しく向上させ、潜水目視の精度の高さを担保している(片野・箱山 2015)。そのため調査結果は、金原ダム湖のオオクチバスが、たとえ少数残存していても、もはや繁殖することはできないことを示す。このような状態は、Green and Grosholz(2021)によって機能的根絶(Functional eradication)と称され、近年、実現可能かつ有効な外来種の駆除目標の1つとして注目されている(Rogosch and Olden 2021; Hay et al. 2022)。我々の潜水目視調査は岸に沿って行っており、ダム湖の中央部や最深部をすべて調査しているわけではない。したがって、残存個体がまったくいないと断定することはできないが、繁殖ペアを2個体ともに見逃した確率は0.403 %と極めて低い確率であると推定された。また、2018年から2022年にかけて行った環境DNA分析の結果、平均30-40コピー / L程度のオオクチバス由来のDNA検出がみられた。ちなみにルーズベルト湖でオオクチバスの捕獲と環境DNA濃度の比較を行った先行研究(Perez et al. 2017)によると、10個体以上のオオクチバスが捕獲された地点での環境DNA濃度は殆どの地点で50コピー / 15 mL、すなわち3,333コピー / L以上であった。Perez et al.(2017)とは湖沼規模、DNA抽出法やPCR条件等が異なるため一概には比較できないが、我々の検出したオオクチバスDNA濃度がごく僅かであり、その由来となったオオクチバスの生物量が極めて低水準であることについては疑う余地はない。以上の結果から、金原ダム湖のオオクチバスは完全に駆除されたか、わずかに生息していたとしても、残存個体が高齢化したり、一方の性に偏っていたりするために、新たに繁殖することができず、機能的に根絶したと判断された。今後も、オオクチバスが生息していないことを確認するために、産卵期である6月の潜水目視調査および環境DNA分析を併用して、調査を継続する必要がある。

オオクチバスがすでに残存していないにもかかわらず、その環境DNAが検出された可能性も考えられる。金原ダム湖では2015年まで多数のオオクチバスが生息していたために、そのDNAだけが湖底に堆積し、その一部が湖水に溶け出して検出されたかもしれない。この場合、検出される環境DNAの濃度は年々低下するはずである。また、長野県 河川砂防情報ステーション(https://www.sabo-nagano.jp/dps/disp?disp=700500&obsp=2001_7_18 最終確認日2022年8月15日)によると、平水時における金原ダム湖の流入量、流出量は、ともに毎秒0.1 m3と安定しており、有効貯水量277,000 m3を勘案すると、およそ32日でダム湖内の水が入れ替わる。そのため死んだオオクチバスが数年にわたり湖底に残存し一定量のDNAが溶出し続けるとは考えにくい。このほか、金原ダム湖でしばしば観察された、カワウやキンクロハジロなどの魚食性の鳥類が、周辺の他の水域でオオクチバスを捕食したのち、そのDNAを糞の排出を通して金原ダムに放出したことも考えられる。また、金原ダムにしばしば不法侵入する釣り人の長靴やルアーを経由して、オオクチバスのDNAが金原ダムに混入した可能性も否定できない。これらの点を明らかにするためには、長期にわたって環境DNA分析を行う必要がある。

調査を行った金原ダム湖は標高が高い地点にあるために水温が低く、6月になって産卵が行われる点、夏季を除いて透明度が高い点が特徴的である。予備調査が終わった2009年には825個体が捕獲されたことから、オオクチバスはすでに定着、再生産をしており、個体数を増加させていたと考えられる。少数の成魚が捕獲されたブルーギルは、河川上流域には生息しない外来魚であることから、オオクチバスとともに人為的に放流された可能性が高い。

本研究は水産庁の外来魚事業の一課題として行われた。この事業の他の課題では、電気ショッカーボートを使用したり、水深の深い場所で長い刺し網を用いて捕獲したりするなど、大掛かりな漁法が試された(水産総合研究センター・全国内水面漁業協同組合 2015)。しかし、本研究では少人数で岸に近い浅場のみで捕獲を行うことをテーマとした。 この方法によって金原ダムで駆除に成功したことは、一般市民や漁業協同組合の組合員が、オオクチバスの駆除に取り組む場合の参考になると考えられる。

捕獲手法の評価

予備調査期間にあたる2007年、2008年は、中網の目合いが2寸ないし2.5寸の小型刺し網を用いた成魚の捕獲と、不十分ではあったが産卵床の除去に重点を置いた。しかし、これらの方法では、体長が16 cmに満たない未成魚の捕獲が進まず、成魚が爆発的に増加する恐れが生じた。そこで2009年以降、アイカゴと目合いの小さな刺し網によって、オオクチバスの幼魚や未成魚を重点的に捕獲した。その結果、未成魚の捕獲個体数は2010年に1,364個体、成魚については2011年に308個体に達したが、その後減少に転じたことから、捕獲手法およびターゲットとする体サイズなど、完全駆除に向けた方針は正しかったと考えられる。実際に、米国ニューヨーク州の湖に定着した非在来のコクチバスでは、全体長階級に捕獲圧をかけることが個体数抑制において重要であると指摘されており(Zipkin et al. 2008)、本研究の駆除戦略と一致する。

産卵床は成魚の増加にともなって2012年に131箇所に増加したが、確認されたものはすべて除去したため、水深の深い場所や立ち入りできない場所で見逃しがなかったと断定することはできないが、繁殖の抑制に成功したと推測される。2012年から2013年にかけて、刺し網のほか水中銃や釣りによって中・大型魚の捕獲を進めたところ、2013年の産卵床はわずか3箇所に減少した。さらに、2014年からは湖岸に沿って潜水調査を行うことで、産卵床の発見率を高め、個体数の大幅なリバウンドを防ぐことができた。

本調査で用いたアイカゴは従来ブルーギルに対して用いられてきたが(滋賀県水産試験場 2007)、金原ダム湖のような透明度の高い水域では、オオクチバスの未成魚に対しても有効なことが明らかになった。金原ダム湖では、オオクチバスの捕食者として、大型のオオクチバスのほか、カワウやキンクロハジロなどの魚食性鳥類が確認されている。一方、オオクチバスが隠れることができる水草は部分的にしか生育していなかったため、集魚剤を入れないアイカゴは主として未成魚の隠れ場所として利用されたと推察される。アイカゴは一度設置すれば、その後は見回るだけであり、労力がかからないため、捕獲効率を高めることに貢献した。

刺し網については、アイカゴより設置、回収に労力がかかったものの、全漁法のなかで捕獲個体数は最多であった。金原ダム湖では6月まで透明度が高いうえに、他魚が少なかったことが捕獲効率を高めた要因であると考えられる。ギンブナCarassius auratus langsdorfiやブルーギルが多いと、これらの魚が刺し網にかかって網が破損したり絡まったりする確率が増加する。その点で金原ダム湖では刺し網を使いやすく、数日にわたって仕掛けることによって、オオクチバスを効率的に捕獲することができた。

使用する漁具によって捕獲されるオオクチバスの体長は大きく異なった。アイカゴは小型魚に適しており、釣りや水中銃は中・大型魚に適していた。刺し網は目合いによって捕れる個体の体サイズが異なるため、さまざまな目合いのものを用意し、全体長階級に対し捕獲圧をかける必要がある。

本研究では、試行錯誤の中で新たな漁具や漁法が開発された。これまで外来魚の捕獲で刺し網が用いられる場合、長さが10~50 mのものをボートから仕掛ける手法が主流であった。しかし、この手法には人員を要し、機動性に乏しいという弱点があった。そこで、本研究では、長さが3 mのかけ上がり用刺し網を開発したが、軽量で二つ折りになり持ち運びが容易な点、岸から胴長靴を履いて簡単に仕掛けられる点、その時に観察されるバスの大きさに合う目合いのものを臨機応変に使うことができる点で優れていた。

かけ上がり用刺し網では、標準体長が30 cmを超える大型のオオクチバスは捕獲しにくかったため水中銃を用いた。水中銃の操作は容易であり、特に繁殖期に産卵床を守っている雄は定住性が高く捕獲効率が高い。また、捕獲が進み低密度になった駆除の最終段階では、残存しているオオクチバスがどこにいるのか把握しにくくなる。このような場合、刺し網や釣りでは著しく捕獲効率が低下するが、水中銃、あるいは別の湖沼(大浜ほか 2012)で実績のあるヤスを用いた捕獲は効果的であると考えられる。日光の中禅寺湖におけるコクチバスの根絶においても、水中銃は効果的であった(武田ほか 2002)。水中銃では、広い範囲を潜水目視しながら撃つのが一般的であるが、本研究ではシュノーケルを着用したうえで1地点に潜み、前方に近寄るオオクチバスを撃ったり、潜水せずに陸上から水中のバスを撃ったりする方法も試みた。これらの詳細については、片野・箱山(2015)および水産総合研究センター・全国内水面漁業協同組合連合会(2015)で詳しく記載した。

環境水の透明度が高いことは産卵床や稚魚を発見するうえでも役立ち、潜水調査を行えば見逃しはほとんどなくなると期待される。一方、捕獲が進み生息密度が低下しても、ごく少数の産卵床を見逃してしまうと、膨大な数の稚魚がふ化し、個体数がリバウンドする恐れが増大する。本研究においても、2014年に産卵床の見逃しが生じ、多数の稚魚が確認された。そのうち約4,000個体は岸から捕獲したが、残りは水深の深い場所にいるために捕獲できなかった。そこで、シュノーケルを装着した潜水捕獲を試み、830個体を駆除することに成功した。さらに、取り逃がしたオオクチバスはその後4年かけて捕獲したが、その総数は約100個体となった。オオクチバスの捕獲効率は体サイズに反比例し、大型個体ほど捕獲しにくくなる。したがって、仔稚魚が生じた場合には、できるだけ早急に捕獲することが望ましい。

金原ダム湖にオオクチバスが多数生息していた時期に、他の湖沼で有効性が認められている電気ショッカーボート(藤本 2013;工藤 2015)を用いたら、アイカゴや刺し網よりも捕獲効率が高かったかもしれない。しかし、その場合でも、完全駆除に向けた最終段階では、残存個体の捕獲と産卵床や仔稚魚の発見、除去を同時に行うことができる潜水調査は必要であったと考えられる。一方、透明度が著しく低く面積が大きな湖沼では、潜水調査を行うことはできず、電気ショッカーボートを用いるにしても、低密度環境下では捕獲効率が低下するであろう。この場合、完全駆除の困難さに応じて、目標を完全駆除ではなく、オオクチバスの個体数を少ないレベルに抑制する低密度管理に設定したほうが適切であるかもしれない。

外来魚の駆除は世界各地で行われており、本研究で用いなかった方法としては、ロテノンやアンチマイシンなどの薬物を投入する方法や、天敵を導入する方法がある(Rytwinski et al. 2019)。これらの方法はいずれも生態系に大きな負荷をかけるものであり、薬物投入は下流の農地や水道水を一時的にせよ汚染する恐れがある。また、天敵の導入を金原ダム湖で検討するにしても、生態系の攪乱が危惧されるほか、金原ダム湖に定着し、オオクチバスを効果的に捕食すると予想される生物は見当たらない。

在来種の回復

調査中に捕獲されたイワナとトウヨシノボリは、千曲川水系に広く分布することから(中村 1999)、ダム建設後に上流の金原川から流入したと考えられる。金原ダム湖では駆除が進むにつれてトウヨシノボリが増加し、1 m2あたり100個体ほどに増加することがあった。オオクチバスの捕獲が進むにつれて、在来魚や在来エビ類が増加することはいくつかの湖沼で報告されている(工藤 2015;上垣・佐野 2015;藤本・速水 2018;麻山ほか 2020)。トウヨシノボリはオオクチバスの卵や仔稚魚を捕食したので、人為的に卵や仔稚魚の捕獲を行わなくても、それらが消失することがあった。日本においてオオクチバスの卵や仔稚魚を捕食する他魚種としては、ブルーギル、ヨシノボリ類、オイカワZacco platypus、コイCyprinus carpioなどが報告されている(津村 1989;吉沢 1992)。以上のように、環境水の透明度が高く、ギンブナやブルーギルなどの他魚が少なく、オオクチバスの卵や仔稚魚を捕食するトウヨシノボリが増加したことが、金原ダム湖においてオオクチバスの駆除が進んだ原因だと考えられる。

金原ダム湖では、他の湖沼で効果的なスジエビなどの生きた餌を用いても(片野・坂野 2010)、オオクチバスを釣ることは難しく、この点は駆除にとって不利であった。金原ダム湖のオオクチバス54個体の食性を調べたところ、体積比でカゲロウなどの水生昆虫が66 %、トンボ目などの陸生昆虫が16 %を占めたが、エビ類は捕食されておらず、魚類(オオクチバス幼魚とトウヨシノボリ)も合わせて15 %を占めるにすぎなかった(片野 未発表)。

以上のように、在来種の組成をしっかり把握した上で、外来魚の捕獲戦略を立てることが肝要であり、在来種の個体数回復を外来魚駆除の最終目標とすべきである。

今後の外来魚駆除対策に向けて

オオクチバスの駆除にあたっては、その対象水域の特性を把握し、どの漁具を組み合わせて使うかを、慎重に検討することが必要である。しかし、もっとも効率的な方法をあらかじめ特定することは難しい。したがって、調査を進めながら効率的な漁具、漁法を選択していく柔軟性が欠かせない。本研究では、当初用いなかった潜水調査と水中銃を多用することで、産卵床の発見と中・大型魚の捕獲が進み、駆除の最終段階におけるオオクチバス個体数のリバウンドを防ぐことができた。この知見は今後、透明度の高い他の湖沼で駆除を行う場合の参考になると考えられる。

オオクチバス等の外来魚を駆除するにあたっては、繁殖を抑制することは不可欠であり、ただ未成魚や成魚を捕獲するだけでは個体数のリバウンドを招いて逆効果になる恐れがある。捕獲にあたっては、この点を重視して管理目標の設定と目標達成に向けた戦略を考えることが必要である。日本のさまざまな水域における外来魚駆除事例については、水産庁事業のすべての課題を通して得られた知見によって作成された外来魚の駆除マニュアル(水産総合研究センター・全国内水面漁業協同組合連合会 2015;水産研究・教育機構・全国内水面漁業協同組合連合会 2018, 2021)や、透明度が低い宮城県の伊豆沼・内沼湖沼で開発されたオオクチバスの駆除マニュアル(藤本 2013)を参照されたい。

根絶の客観的・合理的な判定方法に関する研究が進んでおり(Rout 2017)、捕獲されない回数のみを用いた単純なものから、空間的な捕獲モデルや個体群増加率を組み込んだ複雑なものまで存在する(Russell et al 2017)。ネズミ類などの研究例が多いが、外来魚の根絶事業における適切な根絶判定方法に関する研究が望まれる。

謝 辞

本研究に協力頂いた長野県水産試験場の澤本良宏、河野成実の両氏および水産総合研究センター上田庁舎の坂野博之、石原あゆ美、尾沼深志、黒沢恵子、関 敦子の諸氏に感謝する。茨城大学の阿部信一郎教授には、藻類の種同定をしていただいた。また金原ダム湖の調査にあたって便宜を図って頂いた管理者である上田建設事務所と上小漁業協同組合にも謝意を表したい。本研究は水産庁の外来魚事業として行われた。

著者情報

ORCID

Jun-ichi Tsuboi https://orcid.org/0000-0001-7615-6341

Hiroki Mizumoto https://orcid.org/0000-0001-9176-7896

Hitoshi Araki https://orcid.org/0000-0002-8608-5652

表1

各漁法によって捕獲されたオオクチバス個体数の経年変化。

  オリカゴ アイカゴ 投網 刺し網 手づかみ 釣り 水中銃
2007 0 0 3 100 0 0 0 103
2008 0 0 0 108 0 0 0 108
2009 41 386 37 345 0 5 11 825
2010 0 477 0 964 1 0 30 1,472
2011 0 26 0 548 0 0 13 587
2012 0 112 0 427 0 18 8 565
2013 0 0 0 102 0 1 26 129
2014 0 0 0 24 0 3 17 44
2015 0 15 0 35 0 0 12 62
2016 0 0 0 7 0 0 19 26
2017 0 0 0 0 0 0 8 8
2018 0 0 0 0 0 0 1 1
2019 0 0 0 0 0 0 0 0
2020 0 0 0 0 0 0 0 0
2021 0 0 0 0 0 0 0 0
2022 0 0 0 0 0 0 0 0
41 1,016 40 2,660 1 27 145 3,930

図1

金原ダム湖。白い矢印が流入地点、灰色の矢印が流出地点。丸で囲ったエリアは胴長靴で立ち入ることができない。

図2

オオクチバス未成魚および成魚を捕獲するためのオリカゴ。左右のくびれた箇所からいったん入ると、再び出ることが極めて難しい構造になっている。

図3

オオクチバス未成魚および成魚を捕獲するためのアイカゴ。

図4

オオクチバス未成魚および成魚を捕獲するための2種類の刺し網。上段は通常型(N型, Normal type)、下段は水深の変化に対応した「かけ上がり用刺し網」(S型, Slope-fit type)。

図5

オオクチバスの総捕獲個体数、そのうち成魚の捕獲個体数、および産卵群数の経年変化。個体数に体長4 cm未満の稚魚は含まれない。なお、産卵群数とは、産卵床数に見逃した稚魚群数を加えたものである。

図6

オオクチバスの残存個体数とそれらが9回の潜水目視調査で1度も発見されない確率(尤度)。

図7

各漁法によって捕獲されたオオクチバスの体サイズ組成。サイズ1(標準体長4 cm以上8 cm未満)、サイズ2(8 cm以上16 cm未満), サイズ3(16 cm以上24 cm未満)、サイズ4(24 cm以上32 cm未満)、サイズ5(32 cm以上)。なお、本研究ではサイズ1およびサイズ2を未成魚として扱った。刺し網についてはS型の結果のみを示した。

図8

調査日数および調査努力量の経年変化。努力量については、調査日ごとに調査人数と調査時間の積を算出し、それを年ごとに合算した。

図9

単位努力量あたりのオオクチバス捕獲個体数(Catch per unit effort, CPUE)の経年変化。

図10

オオクチバスの環境DNAサンプルの定量PCR解析結果。かつてオオクチバスの産卵床が頻繁に確認された産卵適地(図1右下)およびダム湖流出口(図1左下)で採水を行った。オオクチバス由来の可能性がある環境DNA濃度として環境水1 L中の推定平均DNAコピー数を示した。なお( )内には12 PCRレプリケート中で、オオクチバスの環境DNAが検出された数を示した。

Catch and efforts by various methods in the largemouth bass eradication program of Kanabara Dam Lake

Catch and efforts in eradication program of largemouth bass (Micropterus nigricans) in Kanabara Dam Lake, Nagano Prefecture, Japan. Operating since 2007, the program includes the removal of spawning beds via snorkelling; removal of larvae and fry through scooping; and capture of immature and adult fish via net traps, cast nets, gill nets, fishing, and spear guns, and by hand. The M. nigricans population was monitored via snorkelling and environmental DNA analysis. Net traps were effective for capturing smaller fish, whereas 3-meter-long gill nets and spear guns were effective for larger fish.


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