抄録
牛乳ホエータンパク質(WPI)の加圧誘導ゲルのタンパク質消化性の評価をするため、未加圧および加圧(200-600MPa) WPIを用いて、in vitro模擬消化率の測定を行い、さらに、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動により、構成タンパク質の消化性を調べた。ペプシンとトリプシンの二段階の消化を経た加圧誘導ゲルのタンパク質消化率は、未加圧WPIの溶液の61.02%から72.59%に上昇し、400MPa以上の加圧では、消化率に変化は認められなかった(ANOVA, p<0.05)。また、未加圧WPIに比べ、加圧ゲル中のβ-ラクトグロブリン(β -Lg) はペプシンにより消化されやすくなり、600MPaの加圧ゲルでは、β -Lgはほぼ完全に消化された。ペプシン消化によりβ -Lgからは分子量約3500-6500のペプチドが生成された。