2021 年 11 巻 3 号 p. 101-106
本研究では,椅子立ち上がり(sit-to-stand:STS)動作を用いた反応時間測定の信頼性と妥当性および地面反力との関連性を検討することを目的とした。被験者は健常な若年女性42名(20.6±0.8歳)を対象とした。敏捷性の測定では,全身反応時間およびSTS 反応時間を評価した。STS 動作時の地面反力測定では,最大値体重比および地面反力立ち上がり率,足圧中心移動距離について評価した。その結果,STS 反応時間測定の級内相関係数(Intraclass correlation coefficient:ICC)は高く,信頼性が確認された(ICC(1,1)=0.735)。また,STS 反応時間と全身反応時間に有意な関連が示された(r=0.375,P=0.014)。しかし,地面反力との関連をみたところ,すべての地面反力変数と関連はみられなかった。以上のことから,STS 反応時間測定の信頼性および妥当性は確認されたものの,地面反力との関連はみられない可能性が示唆された。