2021 年 11 巻 3 号 p. 129-134
本研究の目的は,軽度の外反母趾のある中高年女性を対象に,母趾外反角軽減シューズが母趾外反角(hallux valgus; HV 角)を軽減できるか否かを検討することである。対象者7名(平均66.3±10.5歳)をX 線撮影した結果,すべての対象者で片側のみに軽度の外反母趾(16.7‐21.9度)が認められ,反対側は正常範囲(8.7‐13.6度)に該当した。裸足・一般靴ソール・開発靴ソールの3条件におけるHV 角を比較した結果,外反母趾側では有意な群間差(F 値=16.18,p<0.01)が認められ,開発靴ソールを履いた場合に,裸足および一般靴ソールよりも有意にHV 角が減少した。非外反母趾側では有意な群間差(F 値=0.41,p=0.67)は認められなかった。これらの結果から,開発シューズのHV 角軽減効果を認めるとともに,HV 角が正常範囲の中高年女性が履いても問題が生じない可能性が示された。