2023 年 13 巻 1 号 p. 21-25
本研究では介護予防事業において,特別な機器を使用せず実施できる測定項目から妥当性のある体力年齢を見極めることを目的とした。対象は,介護予防事業に参加登録している60歳以上で80歳未満の女性高齢者73名とした。体力年齢の算出には握力,長座体前屈距離,開眼片足立ち保持時間,30秒椅子立ち上がりテスト,Timed Up & Go Test を用いた。その他,体力年齢の妥当性を検討するため,身体組成,大腿四頭筋筋力,歩行速度,認知機能テストとしてMini-Mental State Examination とTrail making test-A を測定した。 統計処理は,実年齢および体力年齢と各測定項目との相関を検討した。さらに,体力年齢が実年齢よりも高い者と体力年齢が実年齢よりも低い(若い)の者に分類し,各測定値を対応のないt 検定を用いて比較した。結果,体力年齢は高齢者の全般的な体力や心身状態を反映する指標であることが確認され,体力年齢は高齢者自身の体力レベルの理解には分かりやすく有効な手段の1つであることが示された。