ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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13 巻, 1 号
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原著
  • 葛迫 剛, 村田 伸, 合田 明生, 中野 英樹, 白岩 加代子, 堀江 淳, 野中 紘士
    原稿種別: 原著
    2023 年 13 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2023/06/12
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,骨量と筋量がともに低下する女性高齢者の運動機能の特徴を縦断的に検討することである。2018年と2019年に開催された体力測定会にともに参加した65歳以上の女性高齢者105名を解析対象とした。筋量低下の基準は四肢骨格筋指数が5.7㎏/㎡未満とし,骨量低下の基準はTスコアが-2.5以下とした。1年後の身体組成の状態から骨量・筋量低下群,筋量のみ低下群,骨量のみ低下群,正常群の4群に分け,ベースライン時の運動機能を比較した。さらに,身体組成別の4群を従属変数とした多項ロジスティック回帰分析を実施した。その結果,骨量・筋量低下群はBody Mass Index(BMI),握力,通常歩行速度が有意な影響要因として抽出された。これらのことから,骨量と筋量がともに低下してしまう女性高齢者は,BMI が低いこと,握力が弱いこと,通常歩行速度が遅いことに影響を受けることが示唆された。

  • 等々力 賢輔, 甲斐 義浩, 寺尾 純, 西尾 匠史, 望月 晴貴, 村田 伸
    原稿種別: 原著
    2023 年 13 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2023/06/12
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    本研究は,大腿脛骨角(FTA)をマーカーレスモーションキャプチャで測定し,その再現性と妥当性について検討した。対象は,健常若年成人男性18名36脚(平均年齢:20.4±0.6歳)とし,マーカーレスモーションキャプチャと光学式モーションキャプチャでFTA を測定した。再現性はテスト- 再テスト法による級内相関係数で検討し,妥当性はピアソンの相関係数を用いて検討した。分析の結果,マーカーレスモーションキャプチャおよび光学式モーションキャプチャで測定されたFTA は高い再現性を示した(ICC:0.74,0.97)。また,光学式モーションキャプチャとマーカーレスモーションキャプチャで測定されたFTA との間に有意な強い正相関が認められた(r=0.74,p <0.01)。これらのことから,マーカーレスモーションキャプチャで測定したFTA は再現性に優れ前額面上における膝関節の姿勢推定法としての妥当性が示された。

    Editor's pick

  • ―75歳以上の高齢者を対象とした後ろ向き研究―
    保坂 公大, 大田尾 浩, 深草 湧大, 今村 純平, 田中 順子, 柴田 元
    原稿種別: 原著
    2023 年 13 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2023/06/12
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    [目的]脊椎圧迫骨折患者の退院時の歩行能力に影響を及ぼす要因を検証した。[対象]入院前には歩行が自立していた75歳以上の脊椎圧迫骨折患者123名とした。[方法]評価項目は,年齢,性別,入院時HDS-R,受傷前の歩行能力,入院時骨格筋量指数(SMI),入院時活動係数(METs),入院時FIM 運動項目(入院時FIM-M),入院時握力とした。 退院時の歩行の自立に影響する因子をロジスティック回帰により分析し,ROC 曲線から歩行自立の可否を判別するカットオフ値を検討した。[結果]退院時の歩行自立の可否には入院時HDS-R と入院時FIM-M が関係することが明らかになった。歩行の自立を判別する入院時HDS-R のカットオフ値は17.5点であり,入院時FIM-M は32.5点であった。[結語]75歳以上の脊椎圧迫骨折患者は,入院時の認知機能と入院時のADL が良好であると,退院時は歩行が自立している可能性が高いことが示唆された。

  • 久保 温子, 田中 真一, 野中 嘉代子, 松本 典久, 満丸 望, 村田 伸
    原稿種別: 原著
    2023 年 13 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2023/06/12
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    本研究では介護予防事業において,特別な機器を使用せず実施できる測定項目から妥当性のある体力年齢を見極めることを目的とした。対象は,介護予防事業に参加登録している60歳以上で80歳未満の女性高齢者73名とした。体力年齢の算出には握力,長座体前屈距離,開眼片足立ち保持時間,30秒椅子立ち上がりテスト,Timed Up & Go Test を用いた。その他,体力年齢の妥当性を検討するため,身体組成,大腿四頭筋筋力,歩行速度,認知機能テストとしてMini-Mental State Examination とTrail making test-A を測定した。 統計処理は,実年齢および体力年齢と各測定項目との相関を検討した。さらに,体力年齢が実年齢よりも高い者と体力年齢が実年齢よりも低い(若い)の者に分類し,各測定値を対応のないt 検定を用いて比較した。結果,体力年齢は高齢者の全般的な体力や心身状態を反映する指標であることが確認され,体力年齢は高齢者自身の体力レベルの理解には分かりやすく有効な手段の1つであることが示された。

  • 小菅 友里加, 中橋 玲那, 橋田 直, 石川 淳, 田宮 大也
    原稿種別: 原著
    2023 年 13 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2023/06/12
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    【目的】同種造血幹細胞移植(以下:移植)患者は身体機能低下が問題となる。新型コロナウィルス感染症(coronavirus disease 2019 : 以下,COVID-19)の感染拡大期において,感染に対する不安が大きいと活動時間が減少すると報告されているが,移植患者への関連は明らかになっていない。今回,COVID-19感染拡大期における同種造血幹細胞移植患者の不安と身体機能回復との関連について検討した。【方法】対象は当院で移植を施行した25名とし,身体機能は6分間歩行距離(6-min walk distance:以下,6MWD)を,状態不安はState-Trait Anxiety Inventory (STAI)-Form JYZ(新版 STAI,以下:STAI)を使用し調査した。対象者を高不安群と非高不安群の2 群に分け,移植後180日における身体機能の変化率を比較した。【結果】6MWD の変化率は高不安群が93.5±12.0%,非高不安群が110.5±18.0%であり,状態不安の程度において2群間に有意差を認めた。 p<0.05)【結論】移植患者では,COVID-19感染拡大期において不安が高い患者の方が身体機能の回復が有意に低かった。

短報
  • 十念 大貴, 中治 衣理, 大野 七海, 森 拓海, 山口 秀明, 松尾 奈々, 兒玉 隆之, 安彦 鉄平
    原稿種別: 短報
    2023 年 13 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2023/06/12
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    本研究目的は,バランス能力に対して転倒自己効力感が低下した転倒経験のある高齢者において,自己効力感が過度に低下している生活動作を明らかにすることとした。対象は地域在住高齢者144名とし,評価は質問紙検査として転倒自己効力感尺度(FSE)と過去1年間の転倒経験の有無を調査した。バランス能力は,Mini-BESTest を測定した。 非転倒群と転倒群を比較した結果,FSE の点数とMini-BESTest の点数に有意差は認められなかった。転倒群においてバランス能力とFSE が一致している群(一致群)とバランス能力に対してFSE が低下している群(乖離群)を比較した。その結果,乖離群は一致群と比較して,FSE の合計点,「しゃがむ」,「歩きにくい履物で歩く」,「手すり無し階段昇降」の項目で有意な低値を示し,それらの効果量は大きかった。以上のことから,バランス能力に対してFSE が低い地域在住高齢者は,日常生活で経験の少ない動作で自己効力感が低下していることが示唆された。

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