2023 年 13 巻 1 号 p. 27-33
【目的】同種造血幹細胞移植(以下:移植)患者は身体機能低下が問題となる。新型コロナウィルス感染症(coronavirus disease 2019 : 以下,COVID-19)の感染拡大期において,感染に対する不安が大きいと活動時間が減少すると報告されているが,移植患者への関連は明らかになっていない。今回,COVID-19感染拡大期における同種造血幹細胞移植患者の不安と身体機能回復との関連について検討した。【方法】対象は当院で移植を施行した25名とし,身体機能は6分間歩行距離(6-min walk distance:以下,6MWD)を,状態不安はState-Trait Anxiety Inventory (STAI)-Form JYZ(新版 STAI,以下:STAI)を使用し調査した。対象者を高不安群と非高不安群の2 群に分け,移植後180日における身体機能の変化率を比較した。【結果】6MWD の変化率は高不安群が93.5±12.0%,非高不安群が110.5±18.0%であり,状態不安の程度において2群間に有意差を認めた。 p<0.05)【結論】移植患者では,COVID-19感染拡大期において不安が高い患者の方が身体機能の回復が有意に低かった。