2024 年 14 巻 1 号 p. 1-6
本研究は,主観的な運動能力が実際の身体機能と関連するか否かについて明らかにすることを目的とした。対象は大学生56名(男性34名,女性22名)とした。歩行速度と握力を主観的に評価し,主観的歩行速度の速い群と遅い群,および主観的握力の強い群と弱い群の2 群間で,男女別に身体機能を比較した。主観的歩行速度別の2群間比較では,男女ともに有意差を認める項目はなかった。主観的握力別の2 群間比較では,男女ともに握力の実測値(男性:p <0. 001,女性:p =0. 003)と大腿四頭筋筋力(男性:p =0. 008,女性:p =0. 004)に有意差を認め,いずれの項目も主観的握力の強い群で高値を示した。主観的握力は,若年者における握力の実測値と下肢筋力を反映し得る指標であることが示された。