2024 年 14 巻 1 号 p. 7-12
本研究の目的は,上肢骨折患者34名(平均年齢66. 3±12. 6,女性82%,上腕骨近位端骨折者14名,橈骨遠位端骨折者20名)を対象に,ペットボトルキャップテスト(PET bottle cap test;PCT)を縦断的に評価し, PCT の適用とその限界を明らかにすることである。方法は,PCT,ペグテスト,握力,ピンチ力,ボタンの留め外し時間,更衣時間,Hand20を測定し,骨折部位(上腕骨骨折群,橈骨骨折群)および時期(初回, 1 ヶ月後)を要因とした二元配置分散分析,ならびに各時期でのPCT と各評価の相関分析を行った。その結果,時期の要因において,PCT,ペグテスト,握力,ピンチ力,ボタンの留め外し時間,更衣時間,Hand20で主効果が有意であり(p <0. 01),部位の要因において,握力,ピンチ力で主効果が有意であった(p<0. 05)。また,両時期ともPCT はペグテスト(初回:r = -0. 359, 1 ヶ月後:r = -0. 396),ボタンの留め外し時間(それぞれr =0. 739,r =0. 608),更衣時間(それぞれr =0. 52,r =0. 619)と有意な相関が認められた。以上より,PCT は骨折部位を問わず患側の巧緻性および両手の上肢操作能力の経時的変化と類似傾向を示し,時期を問わず患側機能やADL に関する上肢操作能力を評価しうる両手動作の評価法である可能性が示された。