ヘルスプロモーション理学療法研究
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短報
高齢患者の最速歩行と最大低速歩行に及ぼす下肢筋力の貢献度
-大腿四頭筋筋力と足把持力に着目して-
岩瀬 弘明村田 伸阿波 邦彦松尾 奈々山﨑 康平米山 智彦小松 直正重田 裕子窓場 勝之
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2013 年 2 巻 4 号 p. 163-167

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抄録

本研究の目的は,高齢入院患者を対象に,異なる歩行速度における下肢筋力の貢献度を明らかにすることである。方法は,入院中の高齢患者13名を対象に,光学式歩行分析装置を用いて最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを計測した。また下肢筋力の代表値として,大腿四頭筋筋力と足把持力を評価した。歩行条件別に下肢筋力との関連を検討した結果,足把持力は最大低速歩行時の歩行率,歩幅,重複歩距離,立脚時間,遊脚時間との間に有意な相関が認められた。一方,大腿四頭筋筋力は最速歩行時の歩行率,立脚時間,遊脚時間との間に相関を示す傾向が認められた。最速歩行時の足趾把持力および最大低速歩行時の大腿四頭筋筋力は,すべての歩行パラメーターと有意な相関は認められなかった。これらの知見から,足把持力は最大低速歩行時の姿勢の安定化に関与している可能性が示された。一方,大腿四頭筋筋力は,身体を前方へ進める推進力としての役割が大きいことが推察された。

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© 2013 日本ヘルスプロモーション理学療法学会
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