抄録
変形性膝関節症(膝OA)では下腿が外旋位にあり,下腿内旋位でのエクササイズは即時的に膝OA における膝内反アライメント,膝関節屈曲および伸展可動域,歩行時痛を改善したと報告された。この効果発現のメカニズムの検証を進める上で,膝OA と健常膝の類似点と相違点を明らかにする必要がある。本研究では,下腿内旋位でのレッグプレス運動が,若年健常女性の歩行時足圧中心(COP)軌跡および下腿回旋可動域に及ぼす効果を解明することを目的とした。健常女性20名20膝を,無作為に下腿内旋エクササイズ群と下腿外旋エクササイズ群に割り付けた。それぞれ,下腿内旋位または外旋位でのレッグプレス運動を2週間実施した。介入前後に下腿回旋可動域,歩行時COP を測定した。下腿内旋エクササイズ群では下腿内旋可動域が拡大し,歩行立脚後期におけるCOP は内側へ偏位した。下腿内旋位でのレッグプレス運動は,若年女性の健常膝において下腿内旋可動域拡大と歩行中のCOP 内側偏位をもたらす可能性が示唆された。今後,膝OA を対象とした同様の研究を実施する。