抄録
〔目的〕本研究は,端座位と立位で測定した足趾把持力と,その際の下腿筋活動を比較し,足趾把持力測定における姿勢の影響について検討した。〔対象と方法〕健常成人女性20名を対象に,端座位と立位の測定条件で足趾把持力と,その際の腓腹筋内側頭,ヒラメ筋,前脛骨筋の積分筋電図を測定し,最大随意等尺性収縮に対する積分筋電図(% IEMG)を算出して比較した。〔結果〕足趾把持力は,端座位と立位間で有意差は認められなかった。下腿筋活動の比較では,腓腹筋内側頭の%IEMG において端座位の方が立位に比べて有意(p<0.01)に高かった。ヒラメ筋と前脛骨筋では測定条件間に有意差は認められなかった。〔結語〕足趾把持力が姿勢に影響されずに測定可能であることが示唆された。また,腓腹筋内側頭の%IEMG に有意差を認めたことから腓腹筋が筋力低下している場合,端座位では足趾把持力の測定値に影響する可能性が示唆された。