ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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3 巻, 1 号
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原著
  • ―簡便な認知機能低下の識別方法の検討―
    岩瀬 弘明, 村田 伸, 日沖 義治, 北尾 沙友里, 中村 純子, 中井 良哉, 村上 貴士, 窓場 勝之
    2013 年 3 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,TMT-A が認知機能低下を識別するための有用な評価法となり得るのか否かについて検討することである。方法は,入院中の高齢患者31名を対象にTMTA を測定し,MMSE,FIM-C との関連について検討した。その結果,MMSE,FIM-C との間に有意な負の相関が認められた。また,TMT-A の所要時間が5分未満の対象者は,そのすべてがMMSE のカットオフ値である24点以上であり,認知機能低下の疑いが低かった。一方,TMT-A の所要時間が5分以上の対象者は,その多くがMMSE23点以下であり,認知機能の低下が疑われた。本研究の結果から,TMT-A の施行時間に5分以上を要する患者には,MMSE を行う必要性が示唆された。すなわち,TMT-A はMMSE を行うか否かのスクリーニングテストとして有用である可能性が示された。
  • -脳卒中患者における検討-
    大田尾 浩, 村田 伸, 八谷 瑞紀, 小野 武也, 森田 さや香, 金井 秀作, 梅井 凡子, 森川 純子, 溝上 昭宏
    2013 年 3 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    [目的]Functional reach test(FRT)は,開眼と閉眼とではどちらがバランス能力をより反映するのかを検証した。[対象]脳卒中患者60名とした。[方法]開眼FRT と閉眼FRT をWilcoxon の符号付き順位検定にて比較した。また,FRT とBr. stage,足底感覚,下肢筋力,足指筋力,TUG,歩行速度,BBS,半側空間無視との関連をSpearman の順位相関係数から検討した。[結果]開眼FRT と比較して閉眼FRT は有意に低値であった。開眼および閉眼FRT と下肢Br.stage,足底感覚,足指筋力,TUG,歩行速度,BBS と有意な相関が認められた。また,開眼FRT とTUG およびBBS とは中等度の相関を認めたのに対し,閉眼FRT とTUG およびBBS では強い相関が認められた。[結語]開眼FRT より閉眼FRT の方が,脳卒中患者のバランス能力をより反映する可能性が示された。
  • 中江 秀幸, 村田 伸, 甲斐 義浩, 相馬 正之, 佐藤 洋介
    2013 年 3 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,端座位と立位で測定した足趾把持力と,その際の下腿筋活動を比較し,足趾把持力測定における姿勢の影響について検討した。〔対象と方法〕健常成人女性20名を対象に,端座位と立位の測定条件で足趾把持力と,その際の腓腹筋内側頭,ヒラメ筋,前脛骨筋の積分筋電図を測定し,最大随意等尺性収縮に対する積分筋電図(% IEMG)を算出して比較した。〔結果〕足趾把持力は,端座位と立位間で有意差は認められなかった。下腿筋活動の比較では,腓腹筋内側頭の%IEMG において端座位の方が立位に比べて有意(p<0.01)に高かった。ヒラメ筋と前脛骨筋では測定条件間に有意差は認められなかった。〔結語〕足趾把持力が姿勢に影響されずに測定可能であることが示唆された。また,腓腹筋内側頭の%IEMG に有意差を認めたことから腓腹筋が筋力低下している場合,端座位では足趾把持力の測定値に影響する可能性が示唆された。
  • 蒲田 和芳, 外間 源亮, 三田 和広, 生田 太, 米田 佳
    2013 年 3 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症(膝OA)では下腿が外旋位にあり,下腿内旋位でのエクササイズは即時的に膝OA における膝内反アライメント,膝関節屈曲および伸展可動域,歩行時痛を改善したと報告された。この効果発現のメカニズムの検証を進める上で,膝OA と健常膝の類似点と相違点を明らかにする必要がある。本研究では,下腿内旋位でのレッグプレス運動が,若年健常女性の歩行時足圧中心(COP)軌跡および下腿回旋可動域に及ぼす効果を解明することを目的とした。健常女性20名20膝を,無作為に下腿内旋エクササイズ群と下腿外旋エクササイズ群に割り付けた。それぞれ,下腿内旋位または外旋位でのレッグプレス運動を2週間実施した。介入前後に下腿回旋可動域,歩行時COP を測定した。下腿内旋エクササイズ群では下腿内旋可動域が拡大し,歩行立脚後期におけるCOP は内側へ偏位した。下腿内旋位でのレッグプレス運動は,若年女性の健常膝において下腿内旋可動域拡大と歩行中のCOP 内側偏位をもたらす可能性が示唆された。今後,膝OA を対象とした同様の研究を実施する。
  • 相馬 正之, 村田 伸, 甲斐 義浩, 中江 秀幸, 佐藤 洋介
    2013 年 3 巻 1 号 p. 21-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,足趾把持力の測定肢位を検討するため,足関節の角度を変えて測定した足趾把持力を比較した。[対象・方法]健常成人女性20名を対象とした。足関節の肢位は10°背屈位,底背屈中間位,10°底屈位の三条件とし,各条件間で測定した足趾把持力を比較した。[結果]反復測定分散分析の結果,足関節10°底屈位は,10°背屈位,底背屈中間位より有意に低値を示した。[結語]足趾把持力は,足関節10°底屈位より底背屈中間位や10°背屈位の方が筋力を最大発揮しやすいことが示唆された。
短報
  • 甲斐 義浩, 村田 伸, 相馬 正之, 田守 康彦, 藤田 美和子, 中井 啓太, 石川 晴美, 中﨑 千秋, 窓場 勝之
    2013 年 3 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,ハンドヘルドダイナモメーターを用いた簡便な足関節底屈筋力測定法を考案し,その測定値の再現性と妥当性について検討した。対象は,健常成人男性17名34肢(平均年齢:28.5±8.4歳)とし,足関節底屈筋力,膝関節伸展筋力および握力を測定した。足関節底屈筋力の再現性については,テスト-再テスト法による級内相関係数,妥当性については膝関節伸展筋力や握力との関連について,ピアソンの相関係数を求めて検討した。分析の結果,考案した足関節底屈筋力測定法の再現性は0.860と良好であり,下肢筋力の指標とした膝関節伸展筋力,および上肢筋力の指標とした握力との間に有意な中程度以上の相関が認められた。これらのことから,考案した足関節底屈筋力測定法は再現性に優れ,膝関節伸展筋力や握力を反映した簡便かつ有用な測定法であることが確認された。
実践報告
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