本研究の目的は,地域在住高齢者における各種歩行パラメータに関連する要因を明らかにすることである。65歳以上の高齢女性88名を対象に,身長,体重,最速歩行時の歩行パラメータ(歩行速度,重複歩距離,立脚時間,歩隔)の測定とともに,各種身体機能評価(等尺性膝伸展筋力,足把持力,握力,上体起こし,長座体前屈,片脚立位保持時間)を行った。各歩行パラメータと各身体機能評価との関連を検討した結果,膝伸展筋力と足把持力,片脚立位保持時間は全ての歩行パラメータと有意な相関を示した。また,身長は歩行速度と重複歩距離と有意な相関を示し,握力と上体起こしは歩行速度および立脚時間と有意な相関を示した。これらの結果から,歩行には下肢筋力やバランス能力の関与が大きいことが示された。また,歩行評価として汎用される歩行速度は,身長で補正する必要性が示唆された。