ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
Print ISSN : 2186-3741
ISSN-L : 2186-3741
4 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 溝田 勝彦, 村田 伸, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 甲斐 義浩, 松尾 奈々, 宮崎 純弥, 山元 章生
    2014 年 4 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は最大努力下でのFigure-of-8 Walk Test(F8Wmax)の妥当性と信頼性を検討することである。地域在住高齢者85名を対象に,F8Wmax(所用時間,歩数),握力,上体起こし,長座体前屈,閉眼片脚立ち,10m 障害物歩行,歩行速度,大腿四等筋筋力,TUG,FRT を測定し,F8Wmax の妥当性の検討はピアソンの相関係数から,F8Wmax の信頼性については級内相関係数(ICC)を用いて検討した。その結果,F8Wmax の所用時間と歩数はともに,10m 障害物歩行,TUG との間に有意な相関が認められた。また,F8Wmax の所用時間のICC は0.89,歩数のICC は0.88と高値であった。以上より,地域在住高齢者を対象としたF8Wmax の信頼性と妥当性が確認されたと考えられる。
  • 中江 秀幸, 村田 伸, 甲斐 義浩, 相馬 正之, 佐藤 洋介
    2014 年 4 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕上腕二頭筋を被験筋とし,負荷量と負荷条件の違いが筋出力調整に与える影響について筋電図学的検討を行った。〔方法〕健常成人女性15名を対象に,肘関節90度屈曲位における最大随意等尺性収縮(MVC)力に対する30%,50%,70%の負荷量を設定した。負荷条件として,表示される画面をみて被験者自身が負荷量を調節する「自己調節」と検者が調節する「他者調節」を設定した。〔結果〕負荷量と負荷条件による二元配置分散分析で有意な主効果を認め,「自己調節」よりも「他者調節」の筋活動が有意に高く,両負荷条件ともに負荷量が漸増するにつれ,筋活動も有意に増大した。〔結語〕同一負荷量の場合,「他者調節」の負荷条件がより高い筋活動を得られることが示唆された。
  • 兒玉 隆之, 大杉 紘徳, 三谷 良輔, 辻 湖保, 森田 喜一郎
    2014 年 4 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,脳血管障害患者に対する振動刺激によって,脳内に惹起される運動錯覚が脳神経活動へ及ぼす影響を,神経生理学的指標として脳波μ 波をeLORETA 解析により検討した。対象は感覚障害や認知機能障害のない運動障害を呈する脳血管障害患者10名(患者群)であった。方法は,安静時,振動刺激時それぞれの条件下にて脳波μ 波を計測し,それぞれの脳神経活動をeLORETA 解析により比較検討した。結果,安静時は感覚運動領野,補足運動野におけるμ 波の発現を認めた。振動刺激時においては,感覚運動領野の有意なμ 波の発現は認めなかった。以上より,運動障害をもつ脳血管障害患者においても,振動刺激がもたらす運動錯覚が感覚運動領野の神経活動性を高めることを示唆した。
  • 中指-中指間距離を身体柔軟性の指標として
    古後 晴基, 村田 伸, 村田 潤, 東 登志夫, 溝田 勝彦, 大田尾 浩, 久保 温子, 八谷 瑞紀, 甲斐 義浩, 松尾 奈々, 政所 ...
    2014 年 4 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    【目的】地域在住高齢者を対象として,一側優位性が身体柔軟性に及ぼす影響について検討した。【対象と方法】60歳以上で右利きの健常高齢者35名(男性10名,女性25名)を対象とした。測定項目は,背中で両手指を斜めに近付けた中指-中指間距離(Middle finger­Middle finger­Distance: MMD),長座体前屈距離,肩関節の関節可動域(Range of Motion: ROM)とした。MMD において,右手を下にした場合と左手を下にした場合の測定値を比較した。また,MMD の測定値と長座体前屈距離および肩関節ROM 測定値との関連性を分析し,さらにMMD に及ぼす要因を分析した。【結果】右下位MMD と左下位MMD に有意差は認められなかった。右下位MMD は右側の内旋・外旋ROM と負の相関が認められ,左下位MMD は左右の内旋・外旋ROM と負の相関が認められた。右下位MMD に特に影響を及ぼす要因は右内旋ROM であり,左下位MMD では右外旋ROM であった。【結語】上肢柔軟性に及ぼす要因として利き手側のROM があり,使用頻度の多い身体部位は,柔軟性が低下する可能性が示唆された。
  • 大田尾 浩, 田中 聡, 積山 和加子, 長谷川 正哉, 島谷 康司, 梅井 凡子, 金井 秀作, 藤原 和彦, 八谷 瑞紀, 溝田 勝彦
    2014 年 4 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,地域在住高齢者を対象に2週毎に2回の運動介入を行い,身体機能,健康関連QOL(SF‐8)および運動習慣へ及ぼす効果を検討した。対象は,介護認定を受けてない地域在住高齢者22名とし,介入前後の身体機能,健康関連QOL および運動習慣を比較した。その結果,身体機能では片足立ち時間が有意に延長していた。健康関連QOL は身体的健康(PCS)が,下位尺度では活力(VT)と日常役割-身体(RP)が有意に改善していた。また,定期的に行う運動の頻度が有意に増加しており,運動習慣の改善が確認できた。一方,筋力や歩行能力に変化は認められなかった。本研究の結果から,数回の運動介入であってもバランス能力や健康関連QOL,運動習慣に有益な効果が得られることが確認された。ただし,筋力や歩行能力の向上には,本研究における運動強度や頻度,期間などを検討する必要があることが明らかとなった。
短報
  • 大杉 紘徳, 村田 伸, 堀江 淳, 宮崎 純弥, 大田尾 浩, 久保 温子, 八谷 瑞紀, 溝田 勝彦, 岩瀬 弘明
    2014 年 4 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,地域在住高齢者における各種歩行パラメータに関連する要因を明らかにすることである。65歳以上の高齢女性88名を対象に,身長,体重,最速歩行時の歩行パラメータ(歩行速度,重複歩距離,立脚時間,歩隔)の測定とともに,各種身体機能評価(等尺性膝伸展筋力,足把持力,握力,上体起こし,長座体前屈,片脚立位保持時間)を行った。各歩行パラメータと各身体機能評価との関連を検討した結果,膝伸展筋力と足把持力,片脚立位保持時間は全ての歩行パラメータと有意な相関を示した。また,身長は歩行速度と重複歩距離と有意な相関を示し,握力と上体起こしは歩行速度および立脚時間と有意な相関を示した。これらの結果から,歩行には下肢筋力やバランス能力の関与が大きいことが示された。また,歩行評価として汎用される歩行速度は,身長で補正する必要性が示唆された。
  • 佐藤 洋介, 村田 伸, 甲斐 義浩, 相馬 正之, 中江 秀幸, 村田 潤
    2014 年 4 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2014/04/01
    公開日: 2014/08/06
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,等尺性肘関節屈曲筋力の発揮筋力を漸増した際の,上腕三頭筋の関与を明らかにすることを目的とした。[方法]健常成人女性15名を対象とした。平均年齢は20.5±0.9歳であった。被験筋は右上肢の上腕二頭筋・上腕三頭筋とし,各被験筋の最大随意等尺性収縮を算出した。最大肘関節屈曲筋力に対し10%から80%まで10%毎に随意的肘関節屈曲筋力を漸増させた際の各被験筋の筋活動を測定し,比較・検討した。[結果]上腕二頭筋の積分筋電図(IEMG)は最大肘関節屈曲筋力の40%発揮時で有意な増加が認められ,上腕三頭筋のIEMG は最大肘関節屈曲筋力の50%発揮時から有意な増加が認められた。また上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋活動は,それぞれ随意収縮力と有意な正の相関を認めた。[結論]肘関節屈曲における40%以上の負荷量では主動作筋である上腕二頭筋が活動し,50%以上の負荷量では上腕二頭筋だけでなく,上腕三頭筋も運動に関与することが示唆された。
feedback
Top