2016 年 6 巻 1 号 p. 17-22
【はじめに】本研究の目的は,地域在住高齢者における閉塞性換気障害と拘束性換 気障害の有症率を明らかにし,正常群を含む3群間の身体機能を比較検証することとした。 【方法】地域在住高齢者128名(年齢75.5±6.1歳)に対し,呼吸機能検査や身体機能を評価し,換気障害別の各測定項目を比較した。3群間の比較は年齢を共変量とする一元配置共分散分析で解析し,各群における呼吸機能と各測定項目の関係をPearson の相関分析を用いて検討した。 【結果】正常群は80名(68.4%),閉塞性換気障害群は14名(12.0%),拘束性換気障害群は23名(19.6%)であった。正常群,閉塞性換気障害群,拘束性換気障害群の3群間を比較したところ,呼吸機能に有意差を認めたが,すべての身体機能に有意差は認められなかった。ただし,閉塞性換気障害群のみ,呼吸機能と各測定項目に有意な相関を認めた。 【結論】換気障害の差異で身体機能に有意差は認めないが,閉塞性換気障害群は呼吸機能の低下に伴い,筋力が低下する可能性が示された。