2016 年 6 巻 1 号 p. 23-28
本研究は変形性膝関節症(膝OA)患者の運動機能改善の指標を明らかにするために,骨盤運動戦略およびHead・Arm・Trunk(HAT)運動戦略と骨盤周囲筋力の関係を検討した。対象は,膝OA 外来患者14名で,11名は両肢を3名は片肢を評価した。方法は,片脚立位動作を前額面上の写真から肩峰,体幹傾斜および股関節内転角度で骨盤運動とHAT 運動戦略に分類し,中殿筋,大殿筋および股関節内転筋の最大等尺性収縮を比較した。その結果,HAT 運動戦略は,立脚肢の中殿筋の筋力が有意に低下していること,体幹および肩峰傾斜角度と中殿筋の間に負の相関を認めた。歩容でHAT 運動戦略がみられた場合は,片脚立位の評価を加えることで,中殿筋の弱化傾向を推測できる可能性がある。