2016 年 6 巻 3 号 p. 111-116
本研究の目的は,5m 最速歩行時間と身体・認知・精神機能との関連を調査し,活動的な高齢者における5m 最速歩行時間の有用性を検討することである。方法は,太極拳や筋力トレーニングなどを行う高齢者健康サークルに意欲的に参加している女性高齢者351名を対象に,5m 最速歩行時間と下肢筋力や立位バランスなどの身体機能の他,認知機能や精神機能を含めて調査した。重回帰分析の結果,5m 最速歩行時間と独立して関連する因子として抽出された項目は,30-second chair-stand test,身長,大腿四頭筋筋力,開眼片脚立位時間,Geriatric Depression Scale‐5の5項目であった。このことから,5 m 最速歩行時間の測定は,活動的な高齢者であっても下肢筋力やバランス能力などの身体機能のみならず,精神機能をも反映する簡便な指標として使用できる可能性が示された。