本研究の目的は,サルコペニアおよびサルコペニア肥満に該当する高齢者の身体・認知・精神機能の特徴を明らかにすることである。対象は有料老人ホーム利用高齢者87名(男性23名,女性64名平均年齢77.9歳)とし,握力,歩行速度,生体電気インピーダンス法を用いた筋肉量・体脂肪率の測定を行い,得られた結果から対象をサルコペニア群,サルコペニア肥満群,肥満群,非該当群の4群に分類した。各群の身体機能,認知機能,精神機能を測定し,年齢の影響を排除して測定値を比較した。結果,非該当群と比較してサルコペニア群は握力が有意に低く,サルコペニア肥満群は抑うつ傾向にある者が多く,肥満群は身体的健康感が低かった。サルコペニア肥満では精神機能も低下していることが明らかとなり,身体組成の変化は身体機能のみならず,精神機能とも関連することが示唆された。