ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
Print ISSN : 2186-3741
ISSN-L : 2186-3741
6 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 村田 伸, 安彦 鉄平, 中野 英樹, 阪本 昌志, 松尾 大, 川口 道生, 須合 洋次, 松井 宏彰
    2017 年 6 巻 4 号 p. 165-169
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,足底圧分布測定機を用いて健常成人女性の浮き趾の有無を判定し,足趾の把持力・柔軟性・巧緻性および静的バランスとして重心動揺検査,動的バランスとしてfunctional reach test(FRT)を評価して,浮き趾と足趾機能や立位バランスとの関連を検討した。浮き趾群(20名)と非浮き趾群(43名)の測定値を比較した結果,浮き趾群の足趾把持力,足趾把持力体重比,足趾柔軟性,FRT の値が非浮き趾群の値よりも有意に低い値を示した。身長,体重,足趾巧緻性,総軌跡長,外周面積には有意差が認められなかった。これらの結果から,健常成人女性を対象とした場合,浮き趾による足趾巧緻性や静的バランス能力への影響は少ないが,足趾の把持力や柔軟性は低下し,動的バランスが低下することが示唆された。

  • ―電子化地域連携クリティカルパスを用いた過去10年間の調査―
    吉永 龍史, 林田 祐醍, 田所 広太, 藤原 崇光, 宮川 恵輔, 渡邉 靖晃, 高野 雅弘, 前田 智
    2017 年 6 巻 4 号 p. 171-176
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    〔目的〕大腿骨近位部骨折患者の総在院日数に影響を及ぼす要因を地域完結型急性期病院の電子化された地域連携クリティカルパス項目から検討した。〔対象〕大腿骨近位部骨折332名とした。〔方法〕急性期と回復期病院の日数を合計した総在院日数を,中央値を境界として短期群と長期群の2群に分類し,急性期から回復期病院へ転院する際の急性期パス項目から影響要因を後方視的に調査した。〔結果〕ロジスティック回帰分析の結果,年齢,認知症および術式など既知の交絡因子で調整した影響要因は,杖歩行開始日数であった。〔結語〕杖歩行開始日数は,総在院日数の影響要因として臨床的に有用である可能性がある。

    Editor's pick

  • 岡村 和典, 金井 秀作, 沖井 明, 江川 晃平, 山本 征孝, 沖 貞明
    2017 年 6 巻 4 号 p. 177-182
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,足部内在筋が歩行中の足関節モーメントを変化させる機能を有しているか検証することである。【対象と方法】健常成人男性11名を対象とした。歩行立脚期における足部内在筋の収縮力を電気刺激によって強化し,それに伴う足関節モーメントの変化を測定した。測定には三次元動作解析装置と床反力計を使用した。【結果】足部内在筋への電気刺激は,歩行立脚期における最大内部足関節回内モーメントを有意に増加させた(p<0.05)。一方,底屈および外転モーメントに有意差は確認されなかった。【結語】本研究の結果からは,回内作用を持つ足関節底屈筋の活動の増加だけでなく,回外作用を持つ足関節底屈筋の活動の低下も推察される。これは,足部内在筋に歩行場面における足部外在筋の活動を軽減させる機能が備わっていることを示唆している。

  • 大杉 紘徳, 村田 伸, 矢田 幸博, 岡村 祐一, 張 淑珍, 津田 彰
    2017 年 6 巻 4 号 p. 183-189
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,サルコペニアおよびサルコペニア肥満に該当する高齢者の身体・認知・精神機能の特徴を明らかにすることである。対象は有料老人ホーム利用高齢者87名(男性23名,女性64名平均年齢77.9歳)とし,握力,歩行速度,生体電気インピーダンス法を用いた筋肉量・体脂肪率の測定を行い,得られた結果から対象をサルコペニア群,サルコペニア肥満群,肥満群,非該当群の4群に分類した。各群の身体機能,認知機能,精神機能を測定し,年齢の影響を排除して測定値を比較した。結果,非該当群と比較してサルコペニア群は握力が有意に低く,サルコペニア肥満群は抑うつ傾向にある者が多く,肥満群は身体的健康感が低かった。サルコペニア肥満では精神機能も低下していることが明らかとなり,身体組成の変化は身体機能のみならず,精神機能とも関連することが示唆された。

短報
  • 幸田 仁志, 甲斐 義浩, 村田 伸, 安彦 鉄平, 森原 徹
    2017 年 6 巻 4 号 p. 191-196
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究では,高齢者における上腕近位部周径の妥当性について検討した。〔方法〕地域在住高齢女性の35肩に対し,上腕近位部周径,BMI,全身骨格筋量,全身体脂肪量,三角筋厚,等尺性外転筋力,機能的挙上筋力を測定した。統計解析には,上腕近位部周径と他の測定項目との関係をピアソンの相関係数にて分析した。また,上腕近位部周径を目的変数,BMI を説明変数とした単回帰分析を行い,周径の予測値から残差を算出し,残差と他の測定項目との関係をピアソンの相関係数にて分析した。〔結果〕上腕近位部周径は,すべての測定項目との間に有意な相関関係が認められた。また単回帰分析の結果,BMI には有意性が認められ,その残差と全身骨格筋量,三角筋厚,機能的挙上筋力との間には有意な相関関係が認められた。〔結語〕高齢者における上腕近位部周径の測定値は,挙上トルクを発揮する三角筋の筋厚や筋量を反映した妥当性のある評価であることが示された。

活動報告
  • 野田 優希, 古川 裕之, 松本 晋太朗, 小松 稔, 内田 智也, 石田 美弥, 佃 美智留, 藤田 健司
    2017 年 6 巻 4 号 p. 197-200
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    バレーボールの傷害調査を行い,男女間の傷害発生の傾向を分析した。対象は469名1046件(男性142名332件,女性327名714件)であった。部位別傷害発生率は男女ともに膝関節と足関節が上位を占めた。疾患別傷害発生率は足部,腰部,肩関節,下腿において男女間で有意な差がみられた(P<0.01)。足部では,女性において中足骨疲労骨折の発生率が高かった。腰部では,男女共に筋筋膜性腰痛が多くを占めた。また男性において椎間板性腰痛症の発生率が高かったことが特徴的であった。肩関節では,男性で肩関節インピンジメント症候群,女性では動揺肩が多かった。下腿では,女性においてシンスプリントの発生率が高かった。バレーボールでは足部,腰部,肩関節,下腿において発生する傷害が男女で異なっており,コンディショニング指導の際は性差による傷害発生の特徴を考慮する必要性が示された。

  • -虚弱高齢者に対する調査-
    本多 裕一, 政時 大吉, 谷口 彰仁, 山田 将弘
    2017 年 6 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 2017/01/30
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,虚弱高齢者が持つ身体機能の自己認識と実際の身体機能との関連を明らかにすることとした。虚弱高齢者24名を対象とし,1年以内の転倒歴の有無で非転倒群と非転倒群に群分けした。身体機能の自己認識の尺度としてFalling Self-Efficacy Scale(竹中,2002;FSES)を用いた。身体機能の尺度として5m歩行,Timedupandgo test,片足立ちを用いた。非転倒・転倒群の各群におけるFSES と各テスト間の相関について検討した。結果,非転倒群のFSES と各テスト間に相関がみられたが,転倒群ではみられなかった。このことから非転倒群は自らの身体機能を認識する傾向にあると考えた。よってFSES は虚弱高齢者の転倒を予測する上で有用な指標の一つとなる可能性が考えられた。

feedback
Top